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“ルーニー以来の逸材”に高まる期待。
バークリーはW杯でブレイクするか。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/06/13 10:30
今季エバートンではリーグ戦34試合に出場し、6得点。マルティネス監督も「ポール・ガスコインとミヒャエル・バラックを足したような選手だ」と称賛する。
10年前のルーニー以来となる期待感。
とはいえ、無い物ねだりが人間の悪い癖。先発の見込みが薄くなればなるほど、キックオフからピッチに立つバークリーの姿を見たくなってしまう。“スリー・ライオンズ”ことイングランド代表が、敵に牙を剥ける若獅子を連れて国際大会に出陣するのは、ルーニーが世界的に名を広めたEURO2004以来のことだ。
以降10年分の年輪を重ねたルーニーが、オールラウンドに完成度を高めていることは言うまでもない。だが、荒削りでも本能の赴くまま敵に襲い掛った10年前のルーニーと、時には攻撃力を犠牲にしてチームへの貢献を優先する現在のルーニーとの二者択一で、前者を選びたい心境のイングランド住民は筆者だけではないだろう。例年になく優勝など期待されてもいない今大会は、国際舞台でバークリーを解き放つ絶好の機会であるようにも思える。
肝心の指揮官は「ボールを持てば積極的に攻めたいが、選手には、攻撃が失敗した場合に備えて後方への意識も常に持っていてもらわなければ困る」と語っている。ルーニーは、守勢に回ればベンチの指示がなくとも中盤で尽力するトップ下だ。一方、攻勢をかけるという観点からは、バークリーをトップ下に抜擢する新たな最強パターンが浮上した。こだわるべきは、敵にダメージを与える可能性か、自軍がダメージを負う危険性の回避か。
ホジソンの決断は如何に?