プロ野球亭日乗BACK NUMBER
9番起用の理由は「合う打順がない」?
巨人・長野久義に必要な“状況判断”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2014/05/30 10:30
プロ2年目に首位打者、3年目には最多安打と輝きを放ったが、今季は不振が続く長野。日本一奪還を狙う原巨人の原動力となれるだろうか。
高いアスリート能力を、「野球選手」の能力に。
要は全打者がきちっとした「つなぎ」の意識を持つこと。選手は送りバントを確実に決め、シチュエーション打撃ができれば、不振であってもラインナップの中での働き場所はおのずと決まってくる。長野の打順がなかなか定まらないのは、実はそこにも大きな理由があるのだ。
5月25日の会見に話を戻そう。
長野の打順に触れた原監督は、会見をこんな言葉で締めくくっている。
「何とか(長野本人に)合う打順を探してもらいたいね」
自分のあるべき姿を探し求めて、変わっていって欲しい。この言葉には、そんなニュアンスが秘められているように聞こえた。
長野久義という高いアスリート能力を秘めた打者が、さらにいい「野球選手」に進化していくか。そのためには、ときにはヒットを打つ欲望を捨てる意識も必要なのかもしれない。