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セリエを席巻するコロンビア旋風。
日本に立ちはだかる5人の男たち。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byMaurizio Borsari/AFLO
posted2014/05/13 10:40
長友佑都と激しくやりあうフィオレンティーナのクアドラド。トップスピードに乗った状態でのドリブルを止めることはほとんど不可能。得意な形に持ち込ませないことが重要だ。
188cmの大型FWに、長友の盟友も。
コロンビア攻撃陣の“セリエA組”は、もちろんウディネーゼ出身者だけに留まらない。
188cmの高さが厄介なのは、FWビクトル・イバルボ(カリアリ)だ。2-0でベルギーを破った昨年11月のテストマッチでは、途中出場ながら追加点を挙げる活躍を見せた。
3月のチュニジア戦(1-1)では、4-4-2に代わる新布陣4-2-3-1が試され、イバルボは2列目の左サイドとして先発した。屈強なフィジカルを持ち、複数のポジションをこなせるマルチFWの存在は、代表監督ペケルマンにとって頼もしいかぎりだろう。
飛び道具としては、MFフレディ・グアリン(インテル)が放つ豪快なミドルシュートもある。
今年1月、絶対エースFWラダメル・ファルカオ(ASモナコ)が、左膝前十字靭帯断裂の重傷を負ったとき、コロンビア代表は一時ショック状態に陥った。しかし、南米予選2位という成績は、決してファルカオ一人だけで成し遂げたものではない。本大会までにイタリア組を軸に再構築されるであろう攻撃陣は、グループC各国の守備陣を悩ますに違いない。
森本貴幸がセリエ時代に嫌がったコロンビアDF。
5年ほど前、FW森本貴幸(現ジェフ千葉)がシチリア島のカターニャでプレーしていた頃に、対戦して一番嫌なDFは誰かと聞いたことがある。
当時のセリエAには、万能のネスタや全盛期のサムエルといった欧州トップレベルのセンターバックがゴロゴロいた。
だから「コルドバです」と即答されたとき、少々意外な感じがした。
173cmのイバン・コルドバは'12年までインテルで現役を続けた後に背広組となり、現在はチームマネージャーを務めている。DFとしては明らかに小柄でも、マークした相手を決して抜かせなかった。
「大きいDFは裏に抜ければ、パッといけちゃう。コルドバはでかくはないけれど、速くて」
話を聞いたのが、セリエAでの個人最多得点シーズンの後だっただけに、森本の言葉には説得力があった。
コルドバは代表としても71試合に出場したが、母国は不運にもその間、ワールドカップと縁がなかった。その積年の執念が足元に宿っていた。
「抜いたと思っても、必ず足が出てくる。いやらしい」