ブラジルW杯通信BACK NUMBER
セリエを席巻するコロンビア旋風。
日本に立ちはだかる5人の男たち。
posted2014/05/13 10:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Maurizio Borsari/AFLO
コロンビア代表がパスタの国で暴れている。
今季のセリエAには開幕時、代表クラスのコロンビア人選手が9人も名を連ねた。今年3月の親善試合チュニジア戦では、プレー国別で最多の3人が“セリエA組”として先発した。
イタリアでプレーする選手たちはスタメン以外にベンチメンバーとしても数多く招集され、ホセ・ペケルマン率いる代表チームの最大勢力なのだ。
植民地時代の宗主国でもないイタリアに、コロンビアの精鋭たちが揃っているのには理由がある。
先駆けとなったのは、青田買いの王者として移籍市場に君臨するウディネーゼだ。
今世紀に入る頃から、彼らは新たな才能の採掘地として、コロンビアやウルグアイ、チリといった国々へ目をつけた。玉石混交が過ぎるW杯優勝候補の南米2大国よりも、それらの国々の選手たちの方が有望、というわけだ。
現地スカウトスタッフのレベルアップを促し、高精度のレーダーを赤道地帯に張り巡らせたウディネーゼは、ダイヤの原石を次々に掘り出した。
「超」高速ドリブラー、クアドラド。
5年前にメデジンから獲得したMFフアン・クアドラドは、共同保有下にあるフィオレンティーナで、リーグ屈指のサイドアタッカーへと成長した。ブラジルW杯後、バルセロナとユベントスが獲得に本腰を入れると言われている。
ドレッドヘアのクアドラドは、右サイドを疾走する韋駄天だ。名ストライカーだったモンテッラ監督の指導を受けて2年目の今季、得点能力が開花した。2トップもこなし、37節までのリーグ終盤6試合で6ゴールを決め、尻上がりに調子を上げている。
「W杯でプレーするのがずっと夢だった。だからこそ、俺は得意のドリブルで負けるわけにはいかないんだ」
そのクアドラドが弟分として可愛がるのが、'10年夏にウディネーゼに加入したFWルイス・ムリエルだ。レッチェでともに武者修行に励んだ後、ムリエルは昨季からベテランFWディナターレに英才教育を受ける。故障がちで代表歴は浅いが、風貌もプレースタイルも“怪物”ロナウドに酷似しており、勢いにのせると怖い存在だ。