Number ExBACK NUMBER
ロナウドをさらに加速させる靴!?
ナイキが4年の歳月をかけた新技術。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byNIKE
posted2014/05/01 10:50
新たな「マーキュリアル スーパーフライ」を履いて登場したクリスティアーノ・ロナウド。
開発に丸4年。スピードとフィット感の両立。
マーキュリアル スーパーフライの開発において重要視された点は、足とのフィット感、ボールタッチの感触、前への推進力を生みだすトラクションの3つだった。
フライニットの採用はフィット感を高めただけでなく、スパイクの表面が薄くなったことでボールをタッチする際の感覚がより裸足に近づいた。また、アウトソールのプレート構造を薄くすることで屈曲性が高まり、プレイヤーの蹴り出す力が地面により伝わるようになっている。
さらに、スパイクのスリム化によって生じる足のブレを防ぐためにフライニットが覆うアッパー全体には「ブリオケーブル」と呼ばれる糸状の繊維をはりめぐらせ、安定感を確保している。靴底のスタッドの位置もマーキュリアル仕様にすることでグリップ感が高まり、安定性と推進力を向上させた。プレイヤーのエネルギーを損なうことなく、爆発的なスピードを発揮することが可能になっている。
開発担当者であるナイキ・グローバルフットボール・デザインディレクターのデニス・デコビッチは試行錯誤の末に誕生したスパイクに自信を見せた。
「開発には丸4年を要しました。ここまで新しいものを作ろうとすると、様々なことを考えないといけません。選手たちはしっかりとしたフィット感を求めてきましたが、そのままでは作りがタイトになり、履きにくいものになってしまいます。そこでフライニットの編み方を部位ごとに変えて、伸縮性を作りだしたんです。
ロナウド、シャーラウィ、リベリーらに聞き取り。
クリスティアーノ・ロナウドだけでなく、エルシャーラウィ(イタリア)、ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン)、フランク・リベリー(フランス)ら100人以上の選手に聞き取りをして、3ケタを超えるサンプル数を作りました。
マーキュリアルは1998年に初めて登場して以来、この世界に大きなインパクトを与えてきました。革命的と言えるマーキュリアル スーパーフライもこの先のフットボールを変えることになるでしょう」
ナイキ・パフォーマンス・フットウエア担当副社長のフィル・マッカートニーも自社の英知を集めたプロダクトに胸を張る。
「いつも選手たちから聞かされていたのは、“フットボールが変化している”ということでした。現代のフットボールはかつてない激しい戦いになっています。プレイヤーも以前にもまして強く鍛えた身体をつくり、身体能力、技術力も高まっています。そのために選手たちはもっと速くなる必要があると話していました。
ほんの一瞬の違いによって、チャンピオンとその他大勢とが決まってしまう。その一瞬の違いを生み出すためにこのマーキュリアル スーパーフライを作ったのです」