欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「マヤは典型的な日本人タイプ(笑)」
VVV会長が語る吉田麻也と日本愛。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2014/04/18 10:30
2009年から2012年までVVVに在籍した吉田麻也。残留争い、ロンドン五輪などを経験してサウサンプトンへ移籍した吉田を、ベルデン会長は誇りに思っているという。
「今晩はしゃぶしゃぶを食べようと思っていてね」
この日が今回の滞在最終日だったベルデン会長。日本での最後の晩餐を伺ったところ、「今晩はしゃぶしゃぶを食べようと思っていてね」と嬉々とした表情で話していた。
隣に座り、最後までインタビューに耳を傾けていた藤田俊哉氏が、耳元でこうつぶやいた。「会長、今日は相当気分よく話していたよ」
終始笑顔で我々に応対してくれたベルデン会長。これから食す大好物を想像していたのか、最後は軽い足取りで馴染の街・東京のビル群に消えていった。
一つ、印象的だったことがある。
サッカークラブの会長は、基本は監督や選手らが戦う現場への介入を避けるものである。あくまで本業は、クラブ経営。日本のJリーグ各クラブでは、メインスポンサーから出向してきた役員が経営責任者に就く事例が多いのも、そうした理由が一つ挙げられる。ただ残念ながら、彼らはサッカーの知識や専門性に欠けている部分も否めない。
ハイ・ベルデン会長は、サッカーにおける造詣が非常に深かった。しかも、それは技術や戦術的な視点にまで及ぶ。もちろん余計な波風を立てないために、彼もまた無用な現場介入はしない主義だという。それでもクラブ経営のトップに立つ人間が、競技自身についてもこれほど理解が深いところに、改めて欧州のサッカー文化の根深さを見た。
そんな人間が惚れ込んだ、本田圭佑、吉田麻也、そして数々の日本人。この国を愛するオランダ紳士の言葉と思いからは、嘘偽りなど感じられなかった。