野球クロスロードBACK NUMBER
坪井智哉、米独立リーグで現役続行!
迷える盟友にイチローがかけた言葉。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph bySports Graphic Number
posted2014/04/14 11:50
坪井智哉・公式フェイスブックより。「独立リーグの中では最高峰と言われており、メジャーやマイナーとの入れ替えが頻繁に行われているリーグ。少しでも夢に近づく為、このリーグでプレーすることを2年前から望んでいました」と夢へと一歩前進したことが報告されている。
練習場を提供してくれるオリックスと日本ハムへの感謝。
オフは、オリックスと日本ハムが練習場を提供してくれる。シーズン直前などで使用できない場合は、トレーニングジムや友人が運営する野球教室の練習場などをはしごするが、坪井にとっては十分すぎる援助である。
「もう、本当に感謝しかないですよ。日本ハム、オリックス……僕、辞めた人間ですよ! 知り合いだって僕のために練習場を確保してくれたり。野球選手って、練習する場所がなかったら何もできませんからね。本当に感謝の気持ちしかないですよ」
体のメンテナンスにしてもそうだ。
骨盤矯正や左肩など負傷した箇所のリハビリを行うため、遠方まで足を運んでしっかりと治療する。もちろん、体の衰えも考慮してのことだろうが、坪井は日本でプレーしている時から、「自分の体は年々変わるものだ」ということを理解しながら自身の体と対話をしてきた。だから、今がある。
イチローの年齢についての考え方に共感。
「去年かな? 自主トレでイチローが40歳という年齢について聞かれた時、記者たちに猛反発したじゃないですか。『ポテンシャルだけでやってきた39歳と様々なことを考えて積み重ねてきた39歳を一緒にしてほしくない』って。イチローってそういうこと、思っていても口に出さない人間だから驚いたんですけど、その反面、嬉しかったんですね。
僕自身、阪神時代から試合前の準備、終わってからのケアとかしっかりしてきたつもりだし。今だって、独立リーグのトレーナーはちゃんとケアしてくれないから(苦笑)、自分で器具を持っていったり、ストレッチを入念にしたり、年々トレーニングのルーティンを増やしていますしね。そういうことを積み重ねてきたからこそ、今でもこうやってプレーできていると思っているんで」
同い年といった縁もあり'01年から自主トレを共にする盟友の言動は、坪井にとって大きな活力にもなっている。
身も蓋もない表現になるが、独立リーグでプレーする坪井は野球選手としての先が見えづらい。彼を知る人間のほとんどは「年も年なんだから、指導者になるとか第二の人生を考えたほうがいい」と、会う度に老婆心を働かせる。
だが、イチローは違う。
坪井が「そんなことを言われるんだよねぇ」と深刻な相談にならないよう切り出すと、イチローは真顔でこう返したという。