プレミアリーグの時間BACK NUMBER
ビラスボアス解任は効を奏したか?
トッテナムの熱血後任監督が苦戦中。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2014/03/20 10:40
選手時代、ブラックバーンで1994-1995シーズンにプレミア制覇を果たしているシャーウッド監督。
エモーショナルな監督の限界は今季なのか。
シャーウッド自身は試合後に、「アーセナルは内容で劣っていた」と自軍の優位を強調した。ゲスト解説者の1人だったグレアム・スーネスも、「チームは指揮官に倣って気概を見せた」と、トッテナムの反撃姿勢を讃えた。
しかし見方を変えれば、シャーウッド率いるトッテナムは、アーセナルに異例の守り勝ちを許したことになる。アーセン・ベンゲル監督にすれば、優勝戦線に踏みとどまるために「必勝」と意識していた敵地でのダービーで、本来の戦い方ができなくても動じずに3ポイントを奪ったパフォーマンスは、大きなボーナスだ。事実「スペシャル・スピリット」と自軍を讃えた試合後の表情は、ピッチ上でのチームの姿と同じく、控えめだが頼もしいものだった。
対照的にトッテナムは、内容よりも結果が問われた大一番で、ベンチ前の指揮官もピッチ上の選手たちも気魄だけに終始した。1週間前、シャーウッドに「ガッツを見せろ」と活を入れられたチームにすれば進歩だが、トップ4争いでは後退以外の何物でもない敗戦だ。顔色一つ変えずに観戦していた会長は、エモーショナルな監督の限界を目撃し、心の中で「今季限り」と決めたのではないか……。そう思えてならない北ロンドンダービーだった。