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ビラスボアス解任は効を奏したか?
トッテナムの熱血後任監督が苦戦中。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2014/03/20 10:40

ビラスボアス解任は効を奏したか?トッテナムの熱血後任監督が苦戦中。<Number Web> photograph by Getty Images

選手時代、ブラックバーンで1994-1995シーズンにプレミア制覇を果たしているシャーウッド監督。

「サッカーとはエモーショナルなもの」と言ったのは、今季から再び西ロンドンのチェルシーで指揮を執るジョゼ・モウリーニョ。だが、この言葉を地で行く監督と言えば、昨年12月半ばに北ロンドンのトッテナムでコーチから監督に昇格した、ティム・シャーウッドだろう。

 元センターハーフの45歳は、選手としても4年間を過ごしたトッテナムへの愛情と誇りを剥き出しにしながら、監督に初挑戦中だ。

 3月8日、チェルシーとのロンドンダービーに大敗(0-4)した試合後には「受け入れ難い崩壊だ。気合いが足りない」と、メディアを通じてチームを一喝。続く13日、ベンフィカとのヨーロッパリーグ決勝トーナメント第2回戦第1レグにも敗れると(1-3)、「監督についてこない選手は、所詮チームには必要のない奴らなのだろうよ」と、更に厳しい自軍評が口をついた。

宿敵アーセナルをホームに迎え、奮闘を見せたが……。

 そして迎えた、16日の北ロンドンダービー。地元最大の宿敵アーセナルとのホームゲームで、シャーウッドが熱くならないはずはない。

 前半には、アレックス・オクスレイド・チェンバレンに難なく走られた守備を目の当たりにして、着ていたベストを地面に叩き付けて憤慨。後半の相手スローイン時には、「さっさとプレーを再開しろ」と言わんばかりに、1度ならず2度までも右SBのバカリ・サニャにボールを投げつけた。

 しかし、シャーウッドがテクニカルエリアで見せた奮闘も虚しく、結果は敗戦(0-1)に終わった。トッテナムは、先制された前半2分以降、最後まで攻勢を続けたが、指揮官も「ワンダーゴール」とシャッポを脱いだトマシュ・ロシツキーのミドルによる1点を守り切られた。

 3連敗は今季初。しかも1週間で喫した3敗の中でも、事実上のプレミアリーグ4位争い脱落を意味する最も痛い敗北だと言える。アーセナルとの第30節終了時点で、順位は5位。残り8試合で4位マンチェスター・シティとの差は7ポイントだが、そのマンCは、大崩れは想像できない優勝候補。加えて、トッテナムよりも消化試合が3試合も少ないというのが現実なのだ。

【次ページ】 ファンの非難は新監督よりも、会長に向いている。

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