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メッシも困惑のバロンドール受賞。
“バルサの一人勝ち”が意味するもの。 

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中嶋亨

中嶋亨Toru Nakajima

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posted2011/01/13 10:30

メッシも困惑のバロンドール受賞。“バルサの一人勝ち”が意味するもの。<Number Web> photograph by Getty Images

FIFAバロンドール候補者の最終ノミネートに選ばれたイニエスタ、メッシ、シャビ

シャビとイニエスタはカンテラの最高傑作である。

 確かにスペイン人は1960年のルイス・スアレス以来、誰一人としてバロンドールを受賞していない。だが、スペイン代表はスアレスを擁しても成し得なかったユーロ、ワールドカップの連続優勝を果たし、その中心となっているシャビとイニエスタはバルセロナ育成機関の最高傑作として、誰が見ても明らかに異次元のサッカーをバルセロナで実現している。

 高い個人技を攻撃サッカーの中でいかに効率良く発揮するかを教え込まれた選手たちがバロンドール候補を独占したことは、デル・ボスケの言葉をより重いものとしている。デル・ボスケと共に最優秀監督にノミネートされたグアルディオラは授賞式前にこう言った。

「ここ20~30年間でバルセロナはプレーを理解するための方法を手に入れた。そしてそれが彼ら(メッシ、シャビ、イニエスタ)のプレーをよりシンプルにしている。3人共に少年時代からバルサで育ち、彼ら3人がノミネートされるようなことはもう二度とないかもしれない」

 確かな哲学とそれを伝えるノウハウをバルセロナが持ち、世界中から集められた才能が競い合う厳しい競争の中で選手たちは鍛えられ、厳選されていく。グアルディオラはその競争の第一期生と言える存在だ。

 今から約30年前、バルセロナの育成の象徴である選手寮マシアが創設され、グアルディオラは13歳で入寮し、過酷な競争を生き抜き現在に辿り着いた。そのグアルディオラが今までどのクラブもやったことのないような攻撃サッカーを同じくマシアで育った選手たちを率いて実現している。

 グアルディオラは「3人も同時にノミネートされることは二度とないかもしれない」と言ったが、この状態が続けば彼の予想が裏切られる可能性は十分にある。

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リオネル・メッシ

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