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今季最大の注目、ハープスター登場。
東西のクラシックトライアルを占う。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/03/08 08:00
前走の阪神JFは単勝1.7倍ながら鼻差の2着。鞍上の川田将雅は「普通に走れればそれでいいです。前回は普通に走れなかったので」とコメントしている。
今週はクラシックの重要なトライアルレースが東西で1戦ずつ行われる。
8日、土曜日の桜花賞トライアル・チューリップ賞(阪神芝1600m、GIII)と、9日、日曜日の皐月賞トライアル・弥生賞(中山芝2000m、GII)である。
スイープトウショウ、ウオッカ、ブエナビスタと、過去10年の勝ち馬のうち3頭が、のちに牡馬混合の古馬GⅠを勝っているチューリップ賞。今年も、桜花賞の前哨戦以上の意味を持つレースになりそうだ。
最大のポイントは、ハープスターがどう勝つか。
最大のポイントは、牡牝通じて「世代最強」かもしれないハープスター(父ディープインパクト、栗東・松田博資厩舎)がどんな走りをするか、である。直線入口では絶望的な位置にいながら猛然と追い込んで2着に来た阪神ジュベナイルフィリーズは、まさに負けて強し。新潟2歳ステークスで3馬身切って捨てたイスラボニータが共同通信杯を快勝し、昨年からひきつづき、この馬の強さを間接的に証明している。
阪神ジュベナイルと同じコースで、しかも相手が一枚落ちるここで獲りこぼすわけにはいかない。松田調教師が言っているように、直線で馬群の外に出すことさえできれば、力を存分に発揮できる。
桜花賞の先のターゲット――ダービーや凱旋門賞が待ち遠しくなるような結果を出してくれると思うし、そう願いたい。
大本命の追い込み馬が負けるとき、最も多いパターンはスイスイと気持ちよく先行した馬の逃げ残りだ。可能性があるとしたら、エルフィンステークスを勝ったシャイニーガール(父ブラックタイド、栗東・湯窪幸雄厩舎)か、武豊の手綱で新馬戦を逃げ切ったプリモンディアル(父ディープインパクト、栗東・藤原英昭厩舎)あたりか。
実は、このレースにはもうひとつ見どころがある。公営・高知の女性騎手・別府真衣がクロスオーバー騎乗で参戦するのだ。日本人女性騎手がJRA重賞で騎乗するのは、2001年七夕賞にレイズスズランで臨んだ牧原由貴子(16着)以来。地方所属としては、1999年新潟3歳ステークスでナッツベリーに騎乗(7着)した山本泉以来15年ぶり2人目となる。別府は'87年生まれの26歳。'05年にデビューし、今年3月6日現在通算457勝を挙げている。初めてのJRA参戦でどんな手綱さばきを見せてくれるか、楽しみである。