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右サイドを失い、10番対決に完敗。
本田の“忍耐の時”が終わる条件。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/03/03 16:30

右サイドを失い、10番対決に完敗。本田の“忍耐の時”が終わる条件。<Number Web> photograph by AFLO

ユベントスで10番を背負うテベスと競り合う本田圭佑。得点王争いのトップに立ちながら、守備でもハードワークを厭わない。その姿に本田は何を感じたのだろうか。

テベスと本田は、同じ土俵の上にいる。

 テベスと本田は同じ土俵の上にいる。

 本田本人の思惑はどうあれ、ミランの10番を背負う以上、歴史的ライバルとの大一番で、エース同士の比較は避けて通れない。

 今季から“貴婦人”の10番を背負う野生児FWは、68分のゴールで勝利を手繰り寄せた。時速101キロを計測した25m弾丸シュートは、クロスバーをへし曲げる勢いでミラン・ゴールに飛び込み、GKアッビアーティだけでなくスタジアム中を唖然とさせた。

 ボランチとして途中出場した本田は、テベスのマークについた。

 同様にテベスも本田へ襲いかかった。70分に、本田が自ら蹴ったショートコーナーから、こぼれ玉を拾って再びボールホルダーとなると、テベスは圧倒的馬力で本田からボールを奪い、引きずった。

 名門同士の10番対決は、ユベントスに軍配が上がった。ゴールを決める一方、味方を泥臭くサポートし、苦しい時間帯に体を張る。ミラニスタたちが、この冬やってきた新10番に夢見ていたのは、この晩のテベスのような活躍ぶりだったにちがいない。

 試合後のセードルフは「負けは負け」と潔く敗戦を認めながら、プレーのできには満足気だった。ただし、本田の起用法については鋭い質問が飛んだ。「途中出場とはいえ20分あれば十分だったのに、本田は何もできなかった。無気力にすら見えた。それでもなお彼の何に期待しているのか?」と問われた指揮官は、ごく穏やかに答えた。

「テクニックやプレービジョンといった彼の能力についてはよくわかっている。ただ、彼は今夜のようなビッグマッチに途中から入るのには慣れていないのだ。イタリアのリーグに順応するのは難しく、彼にとっても今の状況は想定外なのだろう。(真価を発揮するまでは)我慢だ。彼を信じている」

ニュージーランド戦は苦境打開のきっかけになるか。

 判で押したように同じ内容のコメントがくり返されている。

 ミランの誰もが本田へ「忍耐の時だ」という。

 しかし、その言葉が真実かどうか、進行するカンピオナートの中で確かめる術はない。

 セードルフ就任以降、ミランのプレー精度は少しずつ上がっている。それ自体は好ましいことだが、現時点で指揮官の脳裏には本田をトップ下で起用する選択肢はないことが見えてきた。

 ピッチ中を走り回り、勝利へのエネルギーを発散し、チーム全体を勇気づける。ユーベの10番の奮闘は、日本代表で本田が見せてきたものに重なっている。

 苦境を打開するきっかけをニュージーランド戦で見出したいと切望しているのは、誰あろう本田本人かもしれない。

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