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ガードナーの契約延長で外野は満席。
ヤンキースの決断は「保険」イチロー。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byThomas Anderson/AFLO
posted2014/02/26 10:40
新加入の田中将大らとともに体を動かすイチロー。控えでの開幕が確定的な状況でも「いつも勝負してます。マリナーズのときだって、勝負してないことはない」と自らのなすべきことに集中していた。
ヤンキースはイチローを「保険」に……。
ガードナーには、ヤンキースが失いつつある「匂い」がある。
決して3割を打つことはないだろうと思う。ゴールドグラブ賞を受賞する能力はあると思うが、決め手には欠ける。
それでも、2005年にドラフトでヤンキースに指名され、ヤンキー・スタジアムの外野を任されていることだけで、球団にとっては貴重な存在といえる。
さて、そうなるとイチローの処遇が気になって来る。正直、毎日イチローのプレーが見たいのが本音だ。
しかし、どうみても出番が回って来るチャンスは少なくなる。ガードナー、エルズベリーは左打者、ベルトランはスイッチヒッターで、ここでも役割がかぶる。右投手の時はイチローが先発、というケースも考えにくいのである。
こうなると、ヤンキースはイチローを「保険」としてキープしておくつもりのようだ。私は保険ではなく、トレードして実を取るつもりだと予想していたのだが、現状の外野手3人にはそろってケガの履歴があり、そのあたりを球団としては不安視しているのかもしれない。イチローがバックアップならば、そりゃ安心でしょうが……。
それがヤンキースのドライな姿勢であり、強さであるかもしれないが、オープン戦を前になんとも複雑な思いにとらわれてしまうのである。