オリンピックへの道BACK NUMBER
ソチで考えた「世代交代」の功罪。
ベテランを“見切る”のは誰か。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2014/02/25 16:30
5度目の五輪で4位入賞の上村愛子。悲願のメダルには届かなかったが「全力で滑れた」と晴れ晴れとした表情を見せた。
1%の可能性に賭けるのがアスリートの本能。
しかし、選手たちの挑戦が批判されることもある。そんなのはそもそも無理だったんだ、と。
結果を出せば挑戦は賞賛され、結果が出なければ、無謀と言われ、非難を浴びる。ときに、事実に基づかない中傷すら起こる。悪意がぶつけられる。
ひとつ言えるのは、世界を舞台により高いところを目指して戦う彼らは、可能性がゼロでない限り、可能性が1%でもある限り、挑戦しようとしてきたということだ。閉じられている扉を、自らの手で開こうとしてきた。それこそ、アスリートの本能と言えるかもしれない。
言い換えれば、無謀と言われようとなんと言われようと、可能性を感じて挑戦するからこそ、閉じられた扉が開くときがある。
挑戦があってこその結果だ。その結果がメダルという形で結ばれるにせよ、結ばれないにせよ、挑戦する意志、挑戦する過程に尊さがある。
自身の可能性を信じて長年競技に取り組み、第一線で活躍してきたソチ五輪での選手たちの姿は、あらためてそう思わせた。
閉会式が進んでいる。
各国の選手が入場し、クロスカントリーの表彰式が行なわれ、2018年の冬季五輪開催地、韓国の平昌にオリンピック旗が手渡された。
ソチ五輪は終わった。
挑み続けるアスリートたちの、次の4年が始まる。