メジャー最強のナックルボーラー、R・A・ディッキー。

　もはや説明は不要かもしれないが、ブルージェイズにはR・A・ディッキー投手が在籍している。

　現時点でメジャー最強のナックルボーラーであるのは間違いない。

　2012年にはこれまで数々のナックルボーラーたちが挑み、誰も成し得なかったサイ・ヤング賞をついに獲得。まさに、メジャー史上最高のナックルボーラーといっていいだろう。

　そんなディッキーと大家はこのキャンプで1カ月半に渡り、時間を共有することができるのだ。

　すでにディッキーも「自分のできることは何でもする」と大家への協力を惜しまない姿勢を示しており、大家はキャンプ中に、“最高の師”を得ることができた。

　大家のかつてのメジャー生活では、数人のナックルボーラーたちと交流してきた奇縁があった。

　しかし、当時の大家にとってナックルボーラーはあくまで異次元の世界の投手たちであり、彼らから得た知識は世間話の域を超えてはいなかった。

ナックルボーラーとしての“覚醒”が起こるのでは。

　それを証明するかのように、昨年末に大家本人から話を聞かせてもらった時も、実際にナックルボーラーを目指すようになった当初は、彼らが話してくれた情報がまったく理解できなかったと証言している。

　しかも、昨年末にナックルボールの習得を目指しアリゾナに行った際も、インストラクターを務めた人物はナックルボーラーではなかった。あくまで表面的なアドバイスを受けただけで、大家の疑問に的確な回答を導いてくれたわけではない。

　しかし、現在の大家は曲がりなりにもナックルボーラーの仲間入りをし、今なお試行錯誤を繰り返しながらも徐々に自分の中で体系化をしはじめている。そんな彼が真のナックルボーラーと交わることで、このキャンプ期間中にとてつもない“覚醒”を起こすのではないかと期待しても大袈裟ではないだろう。

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