オリンピックへの道BACK NUMBER
高梨沙羅の同学年ライバル、ソチへ。
山田優梨菜、ブランクを財産に飛ぶ。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byShino Seki
posted2014/01/29 10:50
母校、白馬高校でリラックスした表情を見せる山田優梨菜。ライバルの高梨沙羅とは同学年だ。あどけない表情の奥に、強い意志を宿している。
高梨沙羅を意識しすぎて、陥ったスランプ。
もともと、メンタルに課題があったという。
「自分に自信が持てなかったんです」
自分のジャンプに集中しようとしても、まわりの選手が気になって集中できない。国際大会でもやっぱり気になって、自分はまだ低レベルだ、これでは戦えない、と考えずにいられなかった。その原因に、同級生の存在をあげた。
「(高梨)沙羅ちゃんとは、小学生の頃の大会では、勝ったり負けたりという関係だったんですよ。ところが中学生になったら沙羅ちゃんがぐんと伸びた。もうそのときは焦って、意識しすぎてスランプに陥りました」
解決の糸口が見えたのは、治療の時間にあった。
「リハビリの期間中には、いろいろなことを考えられる時間があったんです。すると、今まで視野が狭くなっていたことに気づいたし、視野を広く持てるようになっていきました。怪我をして得られた自信もあります。長くて辛いリハビリだったのに自分は負けなかった、耐えることができたことです」
その後開幕した冬季シーズンは、苦しい時期も続いた。今年の1月7日、まず高梨と伊藤が代表に決定。代表枠の数によって残りの選手を追加すると発表された。その後の札幌、蔵王での4つの試合は代表をかけた最後の戦いの場でもあったが、最初の試合では予選落ちし本戦に進めず涙を浮かべ、その後の試合でも転倒などで結果を残せなかった。精神的にきつい時期が続いた。
「誰よりも努力できるところが強みだと思っています」
それでも、念願のソチ五輪代表をつかんだ。昨シーズン以降のグランプリとワールドカップの成績によって日本に3つ目の五輪出場枠をもたらした、つまり総合成績で日本選手3番目であったことが決め手となったのだ。
山田は1月22日、海外遠征に出発した。
「(代表選出を)聞いたときはうれしかったんですけど、たくさんの方々があってこういうチャンスをいただいたので、皆さんの思いを背負って、ソチでは飛びたいです」
大怪我の後の時間が昨夏の好成績につながったように、代表選考のかかる中で精神的に苦しんだ経験もまた、これからの財産としていかすことができるはずだ。
そして以前、山田がこう語っていたのを思い出す。
「努力しないと勝てないと分かっているのもありますが、誰よりも努力できるところが強みだと思っています。もうひとつ。自分が世界でいちばんになれるというのは信じています。いつも思っています」
少しずつの歩みではあっても、大舞台にまでたどり着いた山田は、経験を糧に、そして信念とともに、大舞台に挑む。