欧州サムライ戦記BACK NUMBER
低迷ミランを変える「ホンダ・レッスン」。
3戦目で早くも見せた“上から目線”。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byEnrico Calderoni/AFLO SPORT
posted2014/01/21 11:20
試合中も、チームメイトに何度となく指示を出す本田圭佑。その様は、新加入選手というよりは、まるで最古参のリーダーのようだ。
本田が、バロテッリやカカを変えていく。
どの程度やろうとしていることができているのか? と質問すると、本田はこう答えた。
「全然ですよ。50パーセントもいってないんじゃないかな」
この言葉を発する直前、本田が小さくニヤリと笑ったのが印象的だった。このチームには、めっちゃノビシロがありますよ――。そんなワクワク感を覚えているかのようだった。
話をまとめると、要は新加入の日本人選手が、ビッグクラブの選手たちに対してお手本になろうとしていたということだ。たとえ相手がイタリア代表であろうと、ブラジル代表であろうと、それを素でやっているのがいかにも本田らしい。
もちろん本田がまわりを教えているだけでなく、教えられている部分もたくさんある。たとえばベローナ戦では本田のトラップが大きくなって、相手にボールを奪われるシーンがあった。サンシーロの状態が良くない芝にどう対処するか、チームメイトから大いに学ぶところがある。
レッスンの時間は、まだしばらく続くだろう。だがそれが終わったとき、バロテッリやカカという個人が、ミランという組織が、そして本田圭佑という10番がどう変化しているのか。現時点では、とても想像ができない。