フットボール“新語録”BACK NUMBER
大迫勇也と本田圭佑の「共通点」。
欧州の当たりに耐える姿勢とは?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/01/14 10:35
2013年11月16日に行なわれたオランダ戦の前半44分、大迫勇也は長谷部誠のパスをダイレクトで決めた。この日は本田圭佑の得点もアシストするなど、強豪相手でも通用することをアピールした。
「大迫選手は背中側の筋肉を使って、相手の圧力を受け止めている。 見事な身のこなしですよ」
西本直(元川崎フロンターレトレーナー)
大迫勇也が勇気ある決断を下した。
1月6日、5年間プレーした鹿島アントラーズを離れ、ドイツ2部の1860ミュンヘンへ移籍することが発表された。現在1860は8位で、昇格圏内の3位まで勝ち点3差(3位は1部の16位と入れ替え戦)。十分に1部を狙える順位につけており、得点力アップの切り札として期待されている。
1860を率いるのは、かつてフランクフルトで高原直泰と稲本潤一を、ボーフムで乾貴士を指導したフリードヘルム・フンケル監督。日本人選手の長所と短所を理解しており、適応を後押ししてくれるだろう。
現在1860の1トップは32歳のベンヤミン・ラウトが務めており、この元ドイツ代表とポジションを争うことになる。約10年前、ラウトはハンブルガーSVで高原のライバルだったが、もう当時の輝きは見られない。ビルト紙が「速くて、運動量があり、アグレッシブで、そして得点能力が高い」と紹介したように、クラブは大迫のポテンシャルを高く評価している。2月10日の後期再開までに、ポジションを奪うことは可能だろう。
大迫のポストプレーは、ドイツでも通用するか。
大迫がドイツの地でピッチに立ったら、個人的に注目していることがある。それは「ポストプレーが、どれだけ通用するか」ということだ。
この身体能力に恵まれたFWは、クロスに対するニアポストへの飛び込みや、うまい動き出しからパスを受けての反転など多くの武器を持つ、穴が少ないリアルストライカーだ。その中であえてポストプレーに注目するのは、そこに日本人FWのお手本になりうる要素が潜んでいるからだ。