MLB東奔西走BACK NUMBER
米国内で過熱する田中将大の高評価。
前例から考える、1年目の成績は?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2013/12/31 08:01
WBCでは実力を発揮できなかった田中だが、この挫折を糧に2013年シーズンは快進撃を見せた。WBCでは苦しんだメジャー球を、今度こそ克服してほしい。
12月25日、楽天はMLB、NPB間の新ポスティングシステム合意に伴いメジャー挑戦を表明していた田中将大投手の移籍容認をついに発表した。
第一報は日本ばかりか、米国でもMLBや米国最大のスポーツ専門TV局のESPNなどが続々とツイッターや公式サイトで発信。改めてこのオフでの田中の注目度の高さが浮き彫りになった。
これにより田中の新たな所属先が決まるまでは、日米メディアによる田中フィーバーが巻き起こることになりそうだ。
新ポスティングシステムによりチームが受け取れる譲渡金が大幅に削減されたことで、楽天の出方が注目されてきたが、結果的に田中の意思が尊重される決断となった。個人的に楽天の判断は正しかったと考えている。
2013年シーズンの田中と楽天は、完璧すぎるシナリオだった。
すでに報じられているように、田中が海外移籍のFA権を取得するのは2年後の2015年シーズン。もちろん楽天からすればもう1年チームに残留させて、シーズン後に新ポスティングシステムでのメジャー移籍を容認した方が田中離脱に伴う経済的損失は少なくなったはずだ。
だがその一方で、田中がケガなく2年を投げきってくれるという保証はないし、ましてやシーズン後に2013年シーズンほどの花道を田中のために用意するのは極めて難しい。
それほど田中と楽天の2013年シーズンは、田中をメジャーに送り出すために作り上げられた、完璧すぎる映画のようなシナリオそのものだった。
だが田中にとって完璧ともいえるシーズンが、多少の災いにもなってはいないだろうか。すでに報じられている日米メディアの田中評は賞賛ばかりが続いているが、それに疑問を感じずにはいられない。