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米国内で過熱する田中将大の高評価。
前例から考える、1年目の成績は? 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2013/12/31 08:01

米国内で過熱する田中将大の高評価。前例から考える、1年目の成績は?<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

WBCでは実力を発揮できなかった田中だが、この挫折を糧に2013年シーズンは快進撃を見せた。WBCでは苦しんだメジャー球を、今度こそ克服してほしい。

制球力はマダックス、速球はクレメンス、フォークは上原。

 これまでの報道を見ると、評論家やMLBスカウトらの証言を集め「田中はメジャーで必ず通用する」「田中はメジャーでも先発の柱として期待できる」「年俸総額は100億円以上になるだろう」「制球力はマダックス、速球はクレメンス、フォークボールは上原」等々、どのメディアも同じように田中の凄さを全面に押し出している。

 そして楽天の決断が発表され田中のメジャー挑戦が正式に決まると、早くも獲得競争に参加するだろうチーム数を予想。これからさらに報道が過剰になってくるのは必至の状態だ。

 特にここ最近は日米両サイドの情報伝達が迅速になり、「向こうでは○○だと報じられている」と報じ合うことで、さらに報道が過熱しているように感じられる。

過去の日本人選手たちも、大きすぎる期待に苦しんだ。

 これまで田中以前にも多くの大物日本人選手たちがメジャー挑戦を表明し、海を渡っていった。その度にメジャーでの実績がないにもかかわらず、日本の過剰報道に呼応するように米国でも大々的な報道が起こり、選手たちに必要以上の期待を背負わせてしまったのではないだろうか。

 例えば、故・伊良部秀輝投手がヤンキースに入団した際は日米メディアが“日本のノーラン・ライアン”と期待値を釣り上げ、松坂大輔投手がレッドソックスに入団した時も、本人が否定していたにもかかわらずメディアの間で“ジャイロボールの使い手”だと騒がれた。

 投手だけではない。松井秀喜選手もヤンキース入団時は“日本球界最強の長距離打者”と騒がれ、松井稼頭央選手もメッツ入りの際は“日本球界最強の内野手、オールラウンド選手”と持てはやされた。

 しかし、このまま評価が上がれば上がるほど苦労するのは田中本人だろう。いくら彼が昨シーズン、24勝0敗という、とんでもない偉業をやってのけたとはいえ、メジャーで実績がゼロの投手であることに変わりはない。

 それなりに不安要素もあるのだ。

【次ページ】 WBCで見せた、メジャー球への対応不足は……。

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