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FA選手の動向と宿敵への移籍。
~ヤンキースが狙う「夢よもう一度」~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2013/12/14 08:01

FA選手の動向と宿敵への移籍。~ヤンキースが狙う「夢よもう一度」~<Number Web> photograph by Getty Images

今季、レッドソックスの世界一に大きく貢献したエルズベリー。盗塁王を3度獲得したリードオフマンだ。

 ストーヴリーグの主役は、やはりヤンキースか。いまにはじまったことではないが、潤沢な資金にものをいわせ、FAの大物選手をつぎつぎと釣り上げている。

 最初に獲ったのは、ブライアン・マッキャンだ(5年総額/8500万ドル)。これで弱点だった捕手を補強したあと、今度は外野陣の整備に乗り出した。30歳のジャコビー・エルズベリーを7年総額/1億5300万ドルで獲得し、36歳のカルロス・ベルトランとは3年総額/4500万ドルの契約を結んだ。

 しめて2億8300万ドルの大盤振舞だが、背後には、FAの資格を得たロビンソン・カノやカーティス・グランダーソンに高額の年俸を払う必要がなくなったという事情がある。

 カノは、マリナーズと10年総額/2億4000万ドルの大型契約を結んだ。グランダーソンは、メッツと4年総額/6000万ドルで合意した。ふたり合わせて3億ドル。ヤンキースは、そんな大金を払ってまで彼らと再契約する意思がなかったようだ。カノに提示した上限は、7年総額/1億7500万ドルだった。

 ヤンキースの判断は、まず妥当だったと思う。このところ、30歳前後のスター(とくにパワーヒッター)の大型契約は、あまりうまく行っていない。

 たとえばエンジェルスは、2011年にアルバート・プーホルスと10年総額/2億4000万ドルで契約した。タイガースは、2012年にプリンス・フィルダーと9年総額/2億1400万ドルで契約した。どちらも、成功したとはいいがたい。最近のプーホルスはまるで別人だし、フィルダーなどは、これだけの好条件で迎えられながら、つい先日、イアン・キンスラーとのトレードでレンジャーズに売られてしまった。果たしてカノは、数少ない例外となりうるのか。

外野が2人固まったヤンキース、イチローの行方は?

 話をヤンキースに戻そう。

 エルズベリーとベルトランの獲得で、ヤンキースの外野陣は、定位置がふたつ固まった。残るひとつは、ブレット・ガードナーとアルフォンゾ・ソリアーノとイチローが争うことになる。年齢やパワーの面で、イチローはかなり不利だ。出番は著しく減るだろうから、当面の目標である「大リーグ通算3000本安打」の達成は遅れざるを得ない。それならむしろ、積極的にトレードを働きかけるほうがよいのではないか。ジャイアンツやパイレーツなど、頭脳と打撃術のあるイチローを必要としている球団はまだまだ少なくないのだ。

【次ページ】 「バンビーノの呪い」は今も生きているか。

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