欧州サムライ戦記BACK NUMBER
-2℃の敵地で引き分け、3位転落。
内田篤人のシャルケ、CL背水の陣。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAP/AFLO
posted2013/11/27 12:50
内田篤人は右サイドで対峙した相手のエースに決定的な仕事をさせなかった。最終節でシャルケはグループ2位を確保できるか。
寒さもピッチの悪さもあるのだが……。
シャルケはここで勝てれば決勝トーナメント進出が見えてくる。
ステアウアとしてはここで勝たなければグループステージでの敗退が決まる。当然ながら、選手交代などをフルに活用して、両チーム共に早めに動きたい試合であった。
そんな思いに反して、ピッチの状態は非常に悪く、前半は慎重なプレーが続いていた。結局、試合全体のテンポも悪くなった。しかも0-0のまま試合が進むため、両チームともなかなか交代のきっかけを作れない。この試合が迫力を欠いていたのは、その動きの無さゆえだ。
80分を過ぎると両チームともにようやくオープンな展開となり、カウンターの応酬となったが、いかんせんプレーの精度が低かった。
ゴール前で大事に行きすぎ、何度も味方にパスを出すことでカットされたり、フリーのシュートを決められなかったり。CLが世界最高峰のサッカーを披露する場所であるとすれば、そのレベルとしては物足りないものだった。寒さもあるし、ピッチの影響もある。そして両チームには怪我人がいて、本調子とは言えない。
「ちょっと硬いゲームだったかな。お互いにこう……勝ちに行ったぶん、荒れるというよりは、硬い試合だったね」
内田はそう振り返った。
グループ2位の座をバーゼルに奪われたシャルケの危機。
シャルケが放った16本のシュートも、ステアウアの8本のシュートも一度もゴールネットを揺らすことなく、試合は0-0の引き分けで終わった。
同じグループのもう一つの試合では、バーゼルが本拠地ザンクト・ヤコブ・パルクでチェルシーを下した。敗れたもののチェルシーは決勝トーナメント進出が決定。バーゼルが勝ち点を8としてグループ2位に、これと入れ替わるようにしてシャルケは勝ち点7でグループ3位に落ちた。
バーゼルはアウェーとホームでチェルシーに連勝して周囲を驚かせたが、ホームでシャルケに0-1で敗れている。バーゼルとのアウェーゲームを制したシャルケは、ホームとアウェーでともに0-3のスコアでチェルシーに敗れている。
気がつけば主役不在のグループとなっていた。