欧州サムライ戦記BACK NUMBER
-2℃の敵地で引き分け、3位転落。
内田篤人のシャルケ、CL背水の陣。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAP/AFLO
posted2013/11/27 12:50
内田篤人は右サイドで対峙した相手のエースに決定的な仕事をさせなかった。最終節でシャルケはグループ2位を確保できるか。
欧州CLグループEは実に奇妙な組となった。
8月に組み合わせが決まった時点では、チェルシーが頭ひとつ抜けているが、シャルケの2位も濃厚。そう見られていたし、その通りにこのグループの試合は進んでいった。
第3節と4節にチェルシーにホームとアウェーで連敗したものの、第4節を終えてシャルケは2位につけていた。そこで連勝したチェルシーはグループ首位に立っていた。
第5節の11月26日。シャルケが乗り込んだのは、これまで1勝もしていない最下位ステアウア・ブカレスト(ルーマニア)の本拠地ナショナル・アレナだ。スタジアムには屋根がついているとはいえ、粉雪がスタンドの切れ間からピッチに舞い込み、気温は-2℃を記録する悪条件だった。
フンテラールが怪我で長期離脱中のシャルケだったが、さらに、この試合の数時間前にボアテンクが怪我を抱えていた膝の検査のためドイツへ緊急帰国するアクシデントがあった。さらに10番を背負うドラクスラーも風邪の影響からベンチスタート。とはいえ、主力に負傷者が出ているのは相手も同じだ。はたして、これがどんな影響を及ぼすのか。
自らの仕事はキッチリこなしていた内田。
試合序盤こそステアウアがボールを持つ時間が長かったが、シャルケは落ち着いた対応をみせ、シュートまでは打たせない。ステアウアは右サイドを中心に攻撃を組み立て、そこにフォワードのピオバッカリや、10番のMFタナセが決定機を作ろうとしてきた。10番のタナセをマークする機会の多かった内田は、彼をマークすると同時に、中央に入れば味方にマークを受け渡すなど、落ち着いて対応していた。
「やっぱり、エースはあの10番だと思っていたし。彼に決定的な仕事をさせなければと思っていましたけど」
試合後に内田はそう語っている。
18分にピオバッカリにDFラインの裏をつかれてシュートを打たれる場面こそあったが、そこから先はシャルケがパスをつないで、着実にフィニッシュを目指していった。前半のシュート数はシャルケの7本に対して、ステアウアは2本のみ。シャルケがずっと押し気味に試合を進めていた。とはいえ……決定機を多く作れていたわけではなかったが。