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NHK杯を制した高橋大輔の威風堂々。
ついに日本のエースが帰ってきた! 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byAP/AFLO

posted2013/11/11 11:15

NHK杯を制した高橋大輔の威風堂々。ついに日本のエースが帰ってきた!<Number Web> photograph by AP/AFLO

スケートアメリカの後、モロゾフコーチらと徹底的に話し合って、自分を追い込んだという高橋。「気持ちの面でオリンピックに出て自分自身がどうしたいのか……ということをもう1回考え直したんです」と語っている。

日本のエースらしい風格ある演技。

 冒頭の4回転がきれいにきまると、会場内から割れるような歓声と拍手が沸いた。続いて予定していた2回目の4回転は3回転になり、2度目の3アクセルの着氷が乱れたものの、演技の流れが途切れることはなかった。後半の3ルッツコンビネーションから最後の3サルコウまで、残りのジャンプはピシリと決めて、日本のエースらしい風格のある演技を滑りきった。

 フリー172.76、総合268.31でトップを独走し、5度目となるNHK杯優勝を果たした。

「失敗はしなれているので、(ウォームアップの失敗の)動揺はそれほどなかった。(本番では)思い切り跳ぶということだけを考えました」

 会見では、少し苦笑しながら、そうコメントした。

「自分を信じる気持ちを取り戻したいと願って滑った。少しは自信になりました」

ファイナル進出可能性大で、チャンとの対決に!

 高橋が、こうした追い詰められた状況で実力を出せたのは、やはりこれまで何度も怪我などの修羅場を乗り越えてきたからに違いない。

「スケートアメリカの後、周りの人たち、特にニコライ(モロゾフ)からかなりきついことを言われて、自分のオリンピックに向かう気持ちを改めて考えなおしてみた。ようやくこの3試合目にきて、オリンピックに向かう舞台に立った。これからが本当のスタートだと思っています」

 スケートアメリカの4位とこのNHK杯の優勝で、GPファイナルの進出の可能性が高まった。そこではディフェンディングチャンピオンとして、世界王者のパトリック・チャンと今季初めて顔を合わせることになるだろう。

安定した演技を見せた織田信成。

 一方織田信成は、SP「コットンクラブ」では、4+3トウループのコンビネーションを含む素晴らしい演技を見せた。

 本人も会心の演技と感じたのだろう。笑顔でキス&クライに座ったが、回転不足やルッツの不正エッジなどの減点を取られて得点は82.70と思いのほか伸びずに3位スタートとなった。

 フリー「ウィリアム・テル序曲」では、冒頭に予定していた4回転コンビネーションが3回転になったものの、2つ目のジャンプでは4回転トウループを成功させ、得意の3アクセル+3トウループもきれいに降りた。織田の機敏な動きをよく生かしたプログラムを観客たちは大きな手拍子で後押しし、残りをきれいにノーミスで滑りきった。

【次ページ】 「まだまだ点を伸ばせると思う」

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