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1万人を集めた盛況のトライアウト。
“独立L組”木田、小林宏の心模様。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2013/11/11 11:40
打者4人に対して安打性の当たりを許さず、経験値の高さを見せた木田(左)と小林宏(右)。現地視察に来た中日・落合GMは選手名こそ明言しなかったが「ここにいちゃいけないメンバーがいた」とトライアウトを総括した。
「営業担当」も経験して、プロ野球の原点に。
日本ハムを戦力外となった昨年もトライアウトに参加。獲得球団がなく一時は引退も視野に入れたものの、最終的にBCリーグの石川ミリオンスターズに入団し再起を誓った。
木田は、独立リーグでの1年を「人生のなかで大きな期間」と位置付けている。
NPBでは通算516試合に出場。過去にはメジャーリーガーとしての経験もあり知名度も十分。そんな彼は、プレーヤーのみならず「営業担当」として、地元企業とのスポンサー契約交渉に奔走。テレビ番組にも数多く出演し、チーム運営に尽力した。
「今年は野球以外の仕事もたくさんしました。そこで、営業の方たちがスポンサーさんから資金提供を受けるために必死で働いている姿を見て、選手はそういう人たちに支えられてプレーできているんだな、と感じました」
プロ野球選手でいるということの根幹を見つめ直すことで、多忙な日々ながら技術革新に取り組むモチベーションも高かった。45歳の大ベテランはなお、成長を実感したという。
「技術的には年齢もあるから少しずつ、といった感じですけど、変化球の精度とかピッチングの時の体のバランスなんかはよくなったかな、と思っています」
BCリーグでは52試合に登板し、3勝1敗15セーブ、防御率1.76。チームの独立リーグ日本一に大きく貢献した。トライアウトでも2三振と安定感を見せ、「独立で投げていたときと同じように投げられた」と、その成果を披露。木田は自信を持って言う。
「今日、見に来てくれた関係者の方たちがどう評価してくれるかは分かりませんけど、どこでやるにせよ来年も現役でやることは決めています」
『やっぱり実戦で投げてなんぼだ』
小林宏之もまた、独立リーグを経て野球選手としての原点を見直せたという。
「環境は確かに恵まれていませんけどマイナスとは思いませんでした。僕は今年、独立リーグに入るまで満足に野球ができていませんでしたから、ユニフォームを着てグラウンドで野球ができるだけで充実していたというか、『やっぱり実戦で投げてなんぼだ』と、嬉しさを改めて感じましたね」
'12年に阪神を戦力外となり、オフに古巣ロッテの入団テストを受けるも不合格。今春、エンゼルスとマイナー契約を結んだが、オープン戦で結果を残せずリリースされた。
その後は、アメリカでの生き残りを賭け5月まで現地でトレーニングを続けたが、獲得球団はなく帰国。高卒でプロ入りした小林宏にとって、大学や社会人チームのコネクションはなく、国内でトレーニングをする場所は皆無に等しい。そんななか、声をかけてくれたのが群馬ダイヤモンドペガサスだった。