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1試合でMLB投手1年分の酷使度!
米指標で見る、マー君160球の衝撃。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byHideki Sugiyama
posted2013/11/06 11:45
日本一を決めた瞬間の田中。星野監督は試合後に「考えられないような継投なんだけれども、どうしたって田中が行くと言うのでね。最後はあいつ(田中)がふさわしいだろうと。彼に託した」とコメントした。
10年前からの投手起用法の劇的な変化が数字にも。
選手名 | チーム名 | PAP | 最多投球数 |
ティム・リンスカム | ジャイアンツ | 13万2001 | 148 |
C・J・ウィルソン | エンジェルス | 10万8692 | 124 |
ダルビッシュ有 | レンジャーズ | 9万8298 | 130 |
ジャスティン・バーランダー | タイガース | 9万7369 | 126 |
クリス・セイル | ホワイトソックス | 8万3770 | 124 |
アニバル・サンチェス | タイガース | 7万6647 | 130 |
ジョン・レスター | レッドソックス | 7万5507 | 124 |
アダム・ウェインライト | カージナルス | 7万1706 | 128 |
ジオ・ゴンザレス | ナショナルズ | 6万8283 | 127 |
マックス・シャーザー | タイガース | 6万2298 | 123 |
※Baseball Prospectus 調べ。
10万ポイントを超えたのは、リンスカムとC・J・ウィルソンのふたりだけ。ダルビッシュが3位に入っている。
10年前の2003年のシーズンには6人の投手が20万ポイントの大台を突破、17人が10万ポイントを超えていたことを考えると、投手の起用法が劇的に変化したことが分かる。
トップになったリンスカムにしても、7月13日のパドレス戦でノーヒッターを達成した試合で148球を投げたから、という明快な理由がある。
この起用にしても、前半戦最後の登板で、その後にオールスターブレイクが控えていた。110球をはるかに超えたとしても、たっぷりと休めるという計算がジャイアンツのボーチー監督にはあったはずだ。
日本シリーズで田中が叩き出した異常なPAPとは。
田中の場合、日本シリーズ第6戦でのPAPが、メジャーのスカウトを青ざめさせたはずだ。
21万6000
たった1試合で、メジャーのどの投手のシーズントータルのPAPをも大きく超えてしまった。
そして気になるのは、レギュラーシーズン中の田中のトータルPAPである。
21万4666
これが田中のポイントだ。このポイントを見た読者のみなさんには、数字の持つ意味を分かっていただけると思う。