Jリーグ観察記BACK NUMBER
Jの「スピード」は既に世界レベル!?
欧州組が教えてくれた日本人の長所。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTsutomu Kishimoto
posted2011/01/04 10:30
ブンデスリーガ2部で活躍する元川崎フロンターレのチョン・テセ。8ゴールを挙げ、ウィンターブレイク前の得点ランキング5位
世界レベルにあるその脚力をJリーグは生かしていない!!
Jリーグにアジリティ(素早さ)に優れた選手が多いというのは、今に始まった評価ではないだろう。5メートル、15メートルの距離のスピードに関して、Jリーグは世界屈指のレベルにあるはずだ。高さが重視されるセンターバックは少々事情が異なるが、その他のポジションにおいては、少しばかり足が速いだけでは評価されないほど、スピードに恵まれた選手がごろごろいる。だが、一歩踏み込んで考えると、もしかしたらそういう選手たちの能力を生かしきれていないのではないかという疑問が湧いてくる。
たとえばドルトムントの守備では、香川がトップ下の位置で矢のように相手に詰め寄ることで、プレッシングの圧力が2倍にも3倍にもアップしている。Jリーグにも同じくらい速い選手がいるのだから、ドルトムントと同レベルのプレスをかけられるチームが出てきてもおかしくない。
育成年代の指導者たちの努力によって、Jリーグのテクニックのレベルは飛躍的に上がった。その次のステップとして、あらためて元から持っていた武器であるスピードに注目すべきときが来ている、と筆者は今回感じさせられた。スピードを利用するサッカーを突き詰めることで、新しいスタイルのサッカーを生むことができるかもしれない、と。