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セイバーメトリクスでは限界がある!?
メジャー球界の越えがたい年俸格差。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2013/10/27 08:01
カージナルスの右腕エース、アダム・ウェインライト。カージナルスでメジャー昇格してから、チームを牽引してきた。今シーズン、34試合に登板し、19勝9敗、防御率2.94と好成績を残している。
データだけでは勝てない、低予算チームの限界点。
これが低予算チームだと、そう上手くはいかない。
有望若手選手の積極起用は同じなのだが、実績あるベテラン選手に高額年俸を支払えないため、どうしてもピークを過ぎた選手たちに的を絞らざるを得なくなる。
そうなってくると結局、彼らがチームの中心的存在になるのは難しく、仮にシーズンで成績を残しても、肝心のプレーオフではチーム全体としての経験不足を露呈してしまうことになる。
さらに若手選手が成長してある程度の経験を積んでいくと、今度は彼らに対して高額年俸を支払う余裕がないため移籍を許してしまうことになる。
結局、いつになってもチームの屋台骨を支えるために、必要不可欠な中心選手を維持していくことができないという悪循環に陥ってしまう。その典型的な例がアスレチックスであり、レイズというわけだ。
残念ながらNFLのように厳格なサラリーキャップ制度が導入されない限り、年俸格差は是正されることはないだろうし、現在の潮流を変えることはできないだろう。
それともセイバーメトリクスの限界を打ち破るような戦略が世に現われ、いつの日か低予算チームがワールドシリーズを制覇する日が来るだろうか……。