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男・村田修一、夏場の大変身。
もう“乙女”とは言わせない――。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byKyodo News

posted2013/09/11 10:30

男・村田修一、夏場の大変身。もう“乙女”とは言わせない――。<Number Web> photograph by Kyodo News

9月7日には阪神、藤浪の高校時代から続く甲子園不敗記録を「17」で止める決勝2ランを放った“男”。勢いは当分止まりそうにない。

“男・村田”が打ちまくっている。

 7月には打率.406、4本塁打、20打点で5年ぶりに月間MVPを獲得すると、8月は更に打ちまくり、セ・リーグ新記録の月間46安打、打率.422、10本塁打。得点圏打率に至っては.467、勝利打点も量産する圧倒的な勝負強さで、8月24日からは、失って久しい「4番」の座を奪回した。

「“男”、と自称している奴ほど実は男らしくないんだよなぁ――」

 今から十余年前、新人ライターだった筆者が“男・村瀬三等兵”というなんとも言えないペンネームを拝命し名乗っていた頃、先輩のライターにそんな風に言われたことを覚えている。

 確かにその言葉通り、男らしさの欠片もなく、義理や礼節を欠き、ビクビク怯えながらも、惰性と欲望のままに生きては定期的に「甲斐性無し」と罵られてきた己の生き方を鑑みれば、男なんてとても名乗れるようなもんじゃない。

 しかし、そのペンネームを名乗ることで、“男らしさ”という自分に欠けたパーツが満たされるような気がして悪い気はしないのだが、その分「貴様の男っぷり、見せて貰おうか」と周囲からやたら挑発され、気苦労が多い。結局、フリーになった段階でそのペンネームは永遠に封印してしまったのであるが。

1年目から「4番を打ちたい」と剛毅に宣言。

 そんな'02年。村田修一という剛毅な九州男児が横浜ベイスターズへ入団してきた。

「ホームランだけでなく、空振りでもスタンドを沸かせる選手を目指します」

 そう入団会見で言ってしまう彼は、いつしか“男・村田”と自称するようになる。前述のことから、個人的にその“男”の動向には注視せざるを得なかった。

 村田は1年目からスタメンで出場し、5月には早々に二桁本塁打を放つなど、長距離砲としての才能を如何なく発揮したが、その一方で三振もエラーも量産する荒っぽい選手だった。それでも1年目から「4番を打ちたいです」と宣言し、ヒーローインタビューでは、「まだ弱冠22歳。これから伸びていきますよ」なんて言ってしまう剛毅な言動は、「男・村田」を地で行くもの。

【次ページ】 「9番の次は何番かわかっているか?」

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