沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
震災、原発事故を乗り越えて――。
侍たちが力強く生きる相馬野馬追。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAkihiro Shimada
posted2013/08/02 10:30
野馬追2日目に行われた甲冑競馬。宵乗り競馬と同じ1000メートルのコースで行われ、8レースに全53騎が出場した。
祭りがはじまるとすっと晴れる「野馬追日和」。
地元には「野馬追日和」という言葉があり、朝方まで雨が降っていても、祭りの始まりを告げる号砲が鳴ると、すっと晴れることがよくあるのだという。今年は3日間とも雨の予報だったのだが、本祭りの日は、午後になると何か大きな力が働いたかのように青空がひろがった。
――相馬野馬追の魅力は?
そう訊くと、ウーンと考え込み、すぐには言葉が出てこない騎馬武者が多い。彼らにとっては「出て当たり前」のものなので、魅力云々はあまり意識したことがないから、ということらしい。
「馬に乗っての行列は気持ちいいし、旗取りも面白い。自分が伝統をつなぐ一員であることも誇らしい……とかいろいろあるけど、とにかく血が騒ぐ、というやつです」
と蒔田さんは言う。
例年より3000人多い観客が祭りを見守った。
今年は本祭りの日、去年より約3000人多い約58000人が甲冑行列を沿道から見守り、甲冑競馬や神旗争奪戦などが行われた雲雀ヶ原祭場地を、同じく約3000人多い約45000人が訪れた。
それでも超満員ではない。
私のような競馬ファンにとっては、元競走馬に現役時代とはまた違った活躍の場が与えられ、その馬たちが人々に大切にされているシーンを見られるだけでも嬉しい。
馬が好きな人には、この相馬野馬追、絶対にオススメである。