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中継は無くても見どころは満載!
日本S、中日&ロッテのキーマンは?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki/Tamon Matsuzono
posted2010/10/29 12:45
中日とロッテの対戦となった日本シリーズ。やはり中日優勢との声が多いようだ。
それはなぜか? ペナントレースを1位で通過し、クライマックスシリーズ(以下CS)でも4勝1敗と巨人を圧倒したことが大きな理由として挙げられるが、一番は「分かりやすいゲーム」をするところにある。
1番の荒木雅博が出塁すれば2番がすかさずバントで送る。得点圏に走者を進め、森野将彦、和田一浩、ブランコのクリーンナップで1点を取る。
大量得点は望まない。2、3点は必ず取る。それが攻撃のスタイルだ。
チーム打率、得点ともにリーグ5位と得点力は低い。それでも勝てるのは堅牢な投手陣あってこそ。5、6回までリードしていれば、終盤は高橋聡文、浅尾拓也、岩瀬仁紀の盤石のリレーで逃げ切る。
どこまでもセオリーに忠実な自らのスタイルを崩さない。このような戦いを貫き、中日はリーグ制覇を成し遂げた。
ロッテは対照的に、勢いで勝ち上がってきたチームだ。
史上初、3位から日本Sに進出したロッテの勢いは侮れない。
シーズン最終戦でCS進出を決め、ファーストステージで西武に連勝。ソフトバンクとのファイナルステージでは1勝3敗と絶体絶命の窮地から3連勝。史上初となる3位チームの日本シリーズ進出を決めた。
選手起用も、好不調にかかわらず主力で陣容を固める中日とは逆を行く。
シーズンで4番を務めることが多かった金泰均をCSでは7番に下げ、4番にサブロー、5番には打撃好調の今江敏晃を据えた。投手陣では、終盤から内竜也を中継ぎで多用するなど、上り調子の選手を積極的に投入している。
そうすると、このシリーズは「地力の中日」対「勢いのロッテ」という図式になるだろうか。
優位に立つ中日が勝つための条件としては、やはり1番の荒木の出塁がカギとなる。8月まで3位だったチームが9月に入り急激に勝ち星を重ねることができたのは、荒木が多く出塁したからだった。
ただ、その荒木以上に重要となってくるのは、実は6番だ。