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2010年ドラフト会議を完全検証。
球団の成功と失敗、一気読み!! 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/10/29 12:30

2010年ドラフト会議を完全検証。球団の成功と失敗、一気読み!!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

「必然」――。

 10月28日に行われたドラフト会議で、相思相愛の中大・澤村拓一投手を単独指名した巨人・原辰徳監督からは、こんな言葉が飛び出した。

「巨人も熱望し、彼自身も巨人に魅力を感じていると聞いている。名前も往年の名投手(澤村栄治)と同じ。教える(中大の高橋善正)監督も我々の先輩です。必然! 彼の将来は明るく開けている」

 自らも30年前、1980年のドラフト会議で4球団競合の末に、藤田元司監督(当時)の手によって憧れの巨人への道を開いてもらった過去がある。

 選手の持っている運命とは、自然に切り開かれるものであり、澤村にとってはこの日、巨人が単独指名をしたことが、彼の持つ運命の「必然」だったというわけだ。

 その意味では、おそらく今年のドラフトでも、多くの結果は「必然」だったということだろう。

日本ハムの絶対条件はダルを継ぐ“球団の顔”作りだった。

 最大の注目だった早大・斎藤佑樹投手を引き当てた日本ハムにとっても、もちろんこれは運命の出会いだった。

 ヤクルトとロッテのマッチレースと言われた斎藤の入札だったが、フタを空けてみれば、日本ハムとソフトバンクが参戦。4球団によるくじ引きの末に、藤井純一球団社長が当たりくじを引き当てた。

「三振を取れるフォークとスライダーがあるし、連投も利く。先発、中継ぎどちらでも可能。即戦力と期待している」

 梨田昌孝監督の評価だ。

 日本ハムにはどうしても今年はやっておかなければならないことがあったのだ。

 今季は残留を表明したが、来季にもメジャー挑戦の可能性のあるダルビッシュ有投手に代わる“球団の顔”作りだった。当初は中大澤村指名もウワサされたが、人気と実力という二つの要素を考慮した結果、斎藤指名で球団の意思は固まった。昨オフに移籍した藤井秀悟投手(現巨人)がつけていた背番号「18」を1年間空白にしていたのも、まさに斎藤のために空けていたようなものともとれる。

 これもまた「必然」だったわけだ。

早大・大石を「先発として考えている」と話した渡辺監督。

 一方、斎藤のチームメートで今ドラフト候補の中では実力No.1の呼び声が高かった早大・大石達也投手には、案の定最大の6球団が入札して、西武が交渉権を獲得した。

 昨年も6球団が指名した花巻東・菊池雄星投手をくじで引き当てた渡辺久信監督の“黄金の右腕”は鈍っていなかった。

「先発として考えている」

 両手を高々と上げてのガッツポーズをした渡辺監督は、大学時代にはストッパーとして実績を残した大石に対して、投手の王道を歩ませる育成方針を明らかにしている。

「リリーフのときでも2日続けて4イニング投げていたし、タフさもある。スケールの大きい息の長いピッチャーに育ってほしい」

【次ページ】 育成に定評がある西武は大石をどう育てるつもりなのか?

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