サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
韓国戦の舞台は伝説のチャムシル。
日本サッカー、3つ目の分岐点に!?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byNaoki Ogura/JMPA
posted2013/07/27 08:02
ロンドン五輪の3位決定戦で韓国に敗れ、膝をつく権田。しかし現在の彼は、過去のリベンジではなく、未来の優勝へのモチベーションに突き動かされている。
U-19準々決勝、ロンドン五輪3位決定戦と連敗した権田。
ここ最近の日韓戦と言えば、昨年のロンドン五輪が思い出される。ロングボールを効率良く使った相手の攻撃を食い止められず、銅メダルを譲ることとなった一戦だ。
今回の招集メンバーのなかにも、権田修一、徳永悠平、鈴木大輔、扇原貴宏、山口螢、齋藤学と、6人のロンドン五輪代表が含まれている。年代別代表などの対戦を振り返れば、誰もが韓国戦に特別な思いを抱いているといった想像が翼をひろげる。
ところが、選手は違うのである。
「僕のなかでは韓国戦ということ以前に、次は東アジアカップの優勝がかかった試合になる、ということです」
こう話すのは権田である。オーストラリア戦に先発した彼は、'08年11月のU-19選手権準々決勝で、韓国に0対3で完敗したチームのキャプテンだった。7大会連続で出場していたU-20W杯の切符を逃した悔しさは、ロンドン五輪の敗戦によってさらに大きなものとなっているに違いない。
それでも、彼はこう続けるのだ。
「個人的な思いはありますけれど、ユースや五輪とはチームが違いますし、いまはこの東アジアカップで優勝するんだ、という気持ちが強い。僕らにとっては優勝のかかった試合で、韓国も優勝するには勝たなきゃいけない。向こうは過去2試合で点が取れていないから、アグレッシブに来るはず。その韓国を相手にアウェイで結果を残すことに、意味があると思うんです。短い期間ですけれど、このチームはホントにひとつになっているので、何としても優勝したいんです」
リベンジではない。この日韓戦は優勝のためにあるのだ!
中国戦の1得点1アシストで注目度が高まっている工藤壮人も、「僕らは優勝を狙ってここにきていますから」と表情を引き締める。
「個人としてだけじゃなくチームとして結果を残すことが大事。最後の試合もしっかり勝って締めくくりたい」
リベンジという単語で選手の気持ちを彩れば、わかりやすく肌になじむ。だが、東アジアカップという大会を戦っている彼らにとっては、優勝のかかるラストゲームがたまたま韓国戦だったということなのだ。
海外組を追いかけるという未来へ突き進んでいく今回のメンバーに、過去の記憶は重要ではない。そして、何か大きなインパクトを記すのに、チャムシルは最高の舞台である。