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若手の台頭が目立つ今季のプロ野球。
もう1つのオールスターで原石を発見!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/07/26 10:31
7月18日のフレッシュオールスター、6回表全イ2死二塁で右越えに先制2ランを放った加藤翔平(ロッテ)。試合後には、パ・リーグ後半戦でのさらなる飛躍を誓った。
大谷を三振に取った2年目の19歳。
森雄大(楽天・1年目18歳)の故障で全イースタンの先発を急遽まかされた上沢直之(日本ハム・2年目19歳)もフレッシュ球宴で光った1人だ。今シーズンの彼にまず注目したのは春季キャンプ中盤の2月17日、大谷翔平が出場した紅白戦だ。このときの模様はテレビのスポーツニュースなどで大々的に放送されたのでご存知の方も多いと思うが、1、2打席ヒットを打ったあとの第3打席、大谷は右投手が投じた外角ストレートにバットが動かず、見逃しの三振に倒れている。このときマウンドに立つ投手の背番号「63」がちらりと見えた。誰だろうと思って選手名鑑を調べると「上沢直之」の名前があった。
今回、試合前に声をかけた時には、「スピードは高校時代とそれほど変わりませんが、最近バッターがファールすることが多いんです」と話していた。手元で伸びるようになったのでは、と聞くと笑顔で「はい」と答えてくれた。
左肩が開かない美しい投球フォーム。
1回は1~3番まで続けてフライアウトに打ち取り、2イニング目は1死後、注目されている若手の5番高橋周平(中日・2年目19歳)、6番上本崇司(広島・1年目22歳)を連続三振に斬って取り、ストレートの伸びを実証した。専大松戸時代に魅了された投げる姿の美しさは健在で、とくに左肩が開かないフォームは絶品と言っていい。ボールが向かって行く先を上体がなぞるように追いかけていく、と表現すれば開かなさ加減が想像できるだろうか。
2回を投げて被安打0、奪三振2の好成績で、試合後には優秀選手賞にも選ばれている。翌日のスポーツ紙には大きく「2回完全 上沢(うわさわ)本物」の見出しが躍動していた。
上記の3人以外では左腕の木村優太(ロッテ・5年目28歳)と外野手の石川慎吾(日本ハム・2年目20歳)が優秀選手賞を獲得している。木村は190センチの長身を生かした角度のある直球に変化球、さらには球持ちのよさで打者のタイミングをうまく外し、石川はソロホームランを含む2安打で、高校通算55本塁打のパワーを見事に証明した。
賞とは無縁だったが、全ウエスタンの1番西川拓喜(オリックス育成契約・1年目25歳)と全イースタンの2人の左腕、公文克彦(巨人・1年目21歳)、中崎雄太(西武・5年目22歳)も印象に残った。