野球クロスロードBACK NUMBER
パのCS第1ステージはロッテが優勢。
驚異の粘りで、失速中の西武を砕く?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byTamon Matsuzono/Toshiya Kondo
posted2010/10/06 12:20
「和」のテーマを掲げ、故障者続出という苦難を乗り越えてきたロッテの西村徳文監督。シーズン半ばでコーチの不祥事が発覚した渡辺久信監督もツライ!
「和」の全員野球でチームの勝利を最優先するロッテ。
この西村監督の考えをもっとも象徴しているのが、CS進出がかかった大一番、10月1日のオリックス戦だろう。
5対3とロッテ2点リードの9回、定石通りならばここは守護神の小林宏が締めるはずだった。
しかし、西村監督は小林が18、19日の楽天戦で2試合連続救援に失敗していることなどから本調子ではないと判断し、本来中継ぎの伊藤義弘をマウンドへ送っているのだ。
「誰が9回に投げるかにこだわりはありません。チームが勝てばいいと思っています」
指揮官のこの言葉がすべてを物語っている。
チームの勝利が最優先のこの時期、役割などにこだわっていては勝てるはずの試合まで落としてしまう。そのことを西村監督が自ら肝に銘じているだけでなく、チーム全体に浸透させているのだという証左の一戦だった。
CS第1ステージでロッテが有利と考える理由は他にもある。
59盗塁を果たした片岡易之が故障中なのが痛い西武。
分かりやすい証拠を挙げるならば……両チームの対戦成績から出てくる数字も、今季の両チームの相性をハッキリと反映している。
今シーズンの対西武戦の成績は13勝11敗。このカードでの打率は2割9分5厘と、パ・リーグ5球団のなかで最も打っている。防御率こそ4.52と悪いが、打線がシーズン同様に機能すれば十分に補える。
かたや西武は、対ロッテ戦の打率2割6分1厘、防御率は5.24と他4球団と比べると一番低い数字だ。
いくら、シーズンの成績は参考にならない一発勝負のポストシーズンとはいえ、意識せずにはいられないほどロッテとの相性はよくない。
さらに、片岡易之が右足ふくらはぎの故障のため、現時点の出場は見合わせていることも西武にとっては痛い。このカードでは打率2割4分5厘と当たってはいないが、リーグトップの59盗塁をマークした足を生かせないのは厳しい。