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パのCS第1ステージはロッテが優勢。
驚異の粘りで、失速中の西武を砕く?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byTamon Matsuzono/Toshiya Kondo
posted2010/10/06 12:20
「和」のテーマを掲げ、故障者続出という苦難を乗り越えてきたロッテの西村徳文監督。シーズン半ばでコーチの不祥事が発覚した渡辺久信監督もツライ!
2位の埼玉西武か3位の千葉ロッテか?
パ・リーグのクライマックスシリーズ(以下CS)第1ステージが10月9日(土)から西武ドームで開幕するが、シーズン終盤の両軍の戦いぶりやデータなどを見ると、ロッテに分があると感じている。
西武は9月11日にマジック8を点灯させ、リーグ制覇へのカウントダウンに突入したが、中旬以降に大失速。マジックを4とし、2勝すれば優勝だった18日から2位ソフトバンク戦でまさかの3連敗。23日には自力Vが消滅し、26日にはソフトバンクに逆転優勝を許してしまった。マジックを最初に点灯させたチームのV逸は21年ぶりと、いうなれば記録的な失態といえるだろう。
ロッテは西武とは対照的に、9月中旬までが窮地だった。
苦手のクリネックススタジアム宮城とはいえ負けてしまえばAクラスからも転落してしまうという20日の楽天戦は、延長12回の激闘を制し首の皮一枚で繋いだ。その後も4位の北海道日本ハムと熾烈な3位争いを展開。1敗でもすればCS出場が消えるという、シーズン最後となるオリックスとの2連戦で連勝。なんとか、ではあるが勝ち残った。
今のロッテには驚異的な粘りがある。しかしこれは、CS争いを繰り広げていた9月に始まったことではない。
“ブレない”西村監督が故障者続出のチームを救った。
新人ながら不動の2番打者としてチームをけん引していた荻野貴司、3年目の若き右のエース・唐川侑己、そしてベテランの小野晋吾などの主力選手がシーズン序盤から相次ぐ故障で戦線を離脱。ペナントレースを通じてベストメンバーで戦えずにいた。
それでも、荻野の穴を同期入団の清田育宏と昨年、育成枠から支配下登録された岡田幸文が埋め、コマ不足となった先発陣は、中継ぎから先発に回り12勝を挙げたマーフィーを筆頭にコーリー、ペンの外国人選手、そして左腕の吉見祐治らが見事にカバーした。
CS進出を果たしたからこそ言える結果論なのかもしれないが、今シーズンのチームスローガンを「和」と掲げたロッテにとって、これは必然だったのかもしれない。
ただ、西村徳文監督の指揮に終始ブレがなかったことだけは間違いない。調子のいい選手を使う――。この考えを徹頭徹尾貫いた。