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<競泳育成の新スタイル> 平井伯昌コーチと東洋大水泳部、常識への挑戦 

text by

折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph byTakao Fujita

posted2013/07/19 06:01

<競泳育成の新スタイル> 平井伯昌コーチと東洋大水泳部、常識への挑戦<Number Web> photograph by Takao Fujita

左から田垣貞俊コーチ、山口観弘、金指美紅、宮本靖子、萩野公介、内田美希、平井伯昌監督。

日本選手権でしっかり結果を出して、世界の舞台へ。

 そんな意識を持つ選手たちは、4月の日本選手権でもしっかり結果を出した。平井が進学時に声をかけた選手は5名いるが、萩野と山口が個人種目で、内田と宮本靖子が自由形リレーで世界選手権代表になった。さらに平泳ぎの金指美紅はユニバーシアード代表に選ばれた。平井&東洋大水泳部は上々のスタートを切った。

「最初の構想としては、理想の形が出来るのは萩野や山口が卒業してからと思っていたんです。だから今は、4年後の姿を見ているような感じでもあるんですね」

 この環境を実現させた裏には、平井をサポートする田垣貞俊コーチの存在もある。32年間、品川女子学院で指導し、五輪選手も育てた実績を持つ田垣が東洋大のコーチとして加わったのだ。田垣は「平井先生は全体を見る目と個別を見る目、それに流れを作るという重要な仕事をしているので、私はそういうところにできてしまった隙間を補うのが役割」と説明する。

「これからは、指導者自身の環境整備も考えなければいけない」

 だが来年以降の選手の加入や、大きな目標であるジュニア育成まで考えればさらなるスタッフの増員も必要になるし、資金も必要になって来る。

「だからこれからは、指導者自身の環境整備も考えなければいけない。大学の教員でいながら、どこまで自由度を持てるかなど……。大学スポーツを世界一にするためには、やっぱりそれなりの体制も必要だと思います」

 5月のジャパンオープンで、1年生の優勝は萩野の200m個人メドレーと内田の50m自由形のみとふるわなかった。だがそれも新しい環境と、世界選手権へ向けて追い込み中ということが一瞬足を止まらせただけだろう。

 彼らが本当の目標とするのは3年後のリオ五輪。だが平井と東洋大水泳部の新たな試みは、大舞台での結果だけではなく、その歩みの中での周囲への影響力も含めて真価を問われるものだろう。

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