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日本初マルチスイマー。
~5冠達成・萩野公介の潜在能力~ 

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小川勝

小川勝Masaru Ogawa

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photograph byDaiju Kitamura/AFLO SPORT

posted2013/05/22 06:00

日本初マルチスイマー。~5冠達成・萩野公介の潜在能力~<Number Web> photograph by Daiju Kitamura/AFLO SPORT

5月24日開幕のジャパン・オープン(相模原市立総合水泳場)では、200mと400m個人メドレー、100m背泳ぎ、100m自由形の4種目にエントリーしている萩野。複数種目のメダルが期待される今夏の世界選手権へ向け、どのような泳ぎを見せてくれるのか。

 4月に行なわれた日本水泳選手権で、萩野公介が史上最多の5冠を達成した。これがどれくらい価値のあることで、彼がどのような可能性を秘めた選手なのか、じっくりと考えてみたい。

 まず、萩野が優勝した5種目のタイムを、ロンドン五輪に当てはめると何位に相当するのか、見ていくと次のようになる。

400m個人メドレー 銀メダル
200m個人メドレー 銅メダル
400m自由形 4位
100m背泳ぎ 5位
200m自由形 6位

 個人メドレー2種目はいずれも日本記録を更新しての優勝。その他の3種目も自己ベストを更新しての優勝だった。自己ベストを出せなかった200m背泳ぎも入江陵介(ロンドン五輪銀メダル)に続く2位に入り、これもロンドン五輪の結果に当てはめると6位に相当するタイムだった。これらはすべて、4日間で6種目というスケジュールの中で出した記録だけに、萩野はすでに、世界クラスのマルチスイマーになったと言っていいだろう。

北京五輪のフェルプス、ロンドン五輪のロクテと比較すると……。

 日本の水泳の歴史上、異なる泳法の種目で、複数の五輪メダルを獲得したマルチスイマーは、まだ出ていない。萩野は今後、この日本水泳界初の快挙に向けて、歩みを進めていくことになる。

 彼が目標に挙げるマイケル・フェルプス(米国)が'08年北京五輪で8個の金メダルを獲得した時や、ライアン・ロクテ(米国)が'12年ロンドン五輪で金2、銀2、銅1を獲得した時と比較して、萩野の記録が、現在どのくらいのレベルにあるのか。それは、別表のようになっている。

●日本水泳選手権5冠・萩野公介とロクテ、フェルプスとの比較
種目 萩野公介(18)
'13日本選手権
R・ロクテ(27)
'12ロンドン五輪
M・フェルプス(23)
'08北京五輪
200自 1分46秒28  [1] 1分45秒04 [4] 1分42秒96 [1]
400自 3分45秒42 [1] ―― ――
100バ ―― ―― 50秒58 [1]
200バ ―― ―― 1分52秒03 [1]
100背 53秒10 [1] ―― ――
200背 1分56秒11 [2] 1分53秒94 [3] ――
200個 1分55秒74 [1] 1分54秒90 [2] 1分54秒23 [1]
400個 4分07秒61 [1] 4分05秒18 [1] 4分03秒84 [1]
※( )内の数字は大会時の年齢。[ ]内の数字はレースでの順位。

 オリンピックでは200m以下の種目は予選、準決勝、決勝と1種目3レースあるのに対して日本選手権では予選、決勝の2レースだけ、という事情の相違がある。北京五輪のフェルプスは9日間で17レース、ロンドン五輪のロクテは6日間で13レースだった。これに対して萩野は4日間で12レース。レースの本数も大会期間も異なっているため、単純な比較はできないものの、体力的な負担において、3人の間にそれほど極端な違いはないと見ていいだろう。

【次ページ】 萩野に大きな可能性を感じる「18歳」という年齢。

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