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競馬の世界にもアベノミクス効果!?
セレクトセールに見るターフの未来。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byJRHA
posted2013/07/13 08:01
2億4000万円で落札されたアゼリの2013(左)。落札した(有)デスクバレットの田辺滋久氏は「国内のGIレースを目指す」とコメントした。
鑑定人が仔馬の血統背景を説明し、セリのスタート価格を言う前に、「1億!」と声が上がった。
つづいて「1億2000万」と競りかけてきた価格が表示される前に、「2億」の声。場内がどよめくなか「2億2000万」「2億4000万」と声がかかり、ハンマーが打ち下ろされた。
僅か1分半ほどの間に「アゼリの2013」(父ディープインパクト)がスピード落札され、今年最高額の取引が成立してしまった。
馬たちにとっての前舞台、セレクトセール。
7月8日と9日の2日間、新千歳空港にほど近いノーザンホースパークで、日本最大のサラブレッドのセリ「セレクトセール2013」が開催された。
競馬場で行われるレースが、馬たちにとっての檜舞台なら、セリは裏舞台であり、前舞台とでも言うべきものだ。
セレクトセールで当歳馬のセリが始まるのは午前10時。それに先立ち、会場裏の広大な芝生に、出番を待つ200組ほどの親仔が、まるでピクニックでもしているかのように立っている。
これから何が起きるのかとビクビクする仔馬を牧場のスタッフが優しくなだめ、馬主やブラッドストックエージェント(売買仲介者)、調教師といった関係者が、それらの馬を真剣なまなざしで見て回る。
セール初日は1歳馬、2日目は当歳馬のセリが行われ、計477頭が上場された。2日間の売り上げ総額は117億6470万円で、2006年の117億5450万円を上回る過去最高額。落札率は82.2%と、こちらも過去最高。これも「アベノミクス効果」なのだろうか。
冒頭で触れたアゼリの2013もそうだが、今年もやはりディープインパクト産駒の強さが目立った。
1億円以上の値がついたのは初日に8頭、2日目に5頭と計13頭いたのだが、うち10頭がディープ産駒だった。
アゼリ2013の母アゼリはブリーダーズカップディスタフなどを勝ち、アメリカの年度代表馬にもなった名牝で、父がディープ。両親合わせてGIを18勝という超良血だけに、今年の目玉として注目されていた。