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<女子プロゴルフ後半戦展望> 小林浩美LPGA会長 「世界と互角に戦えるプレイヤーが出てきてほしい」
text by
吉井妙子Taeko Yoshii
photograph byToshiya Kondo
posted2013/07/11 06:01
森田理香子(RIKAKO MORITA)岡本綾子門下生の森田は、2位に3000万円以上の差をつけ、賞金ランクトップを独走している。
勝ち方を知る佐伯三貴や横峯さくらの巻き返しに期待。
その一方、すでに2勝を上げている佐伯三貴選手、昨年の賞金女王全美貞選手、横峯選手などの中堅は勝ち方を知っているだけに、後半戦から必ず追い上げてくるでしょう。長いシーズンを闘う上で調子の波は避けられない。若い選手は勢いがあるときはいいけど、落ちるときは一直線。だから優勝したかと思えば、予選落ちもある。でも、中堅やベテランは、技術のベースがしっかりしているから、振幅が少ないんです。
宮里藍や有村智恵など、日本のトップ選手が米国に活躍の場を求めるものの、米国女子ツアーを席巻するまでには至っていない。小林会長は、「勝てないのは選手の実力ではなく、環境の違い」と考え、今シーズンからさらなる国内ツアーの環境整備に着手した。海外ツアーと同様の4日間ツアーを増やし、コースセッティングも、より難しいものへ変更していくという。
メジャーで勝つ選手を育成するため、国内ツアーを世界標準に。
日本の選手は海外勢に負けない実力があると私は確信しています。ではなぜメジャーで勝てないのか? 自身の経験も踏まえて言うなら、海外と日本のコースセッティングが違うため、選手たちが米国で戸惑ってしまうのでしょう。私はずっと、このギャップを埋めたい、と考えていました。
これまで日本で開催されるツアーで、4日間で争う試合は日本女子プロゴルフ選手権、日本女子オープンなど、国内メジャー4大会とサントリーレディスしかありませんでした。それを4試合増やし、計9大会で4日間競技を行なうことにしました。3日間の試合しかプレーしていないと、やっぱり3日間のゴルフが染み付いてしまう。4日間戦うには、それだけの体力、技術、集中力が必要だし、試合の組み立て方も違ってくるんです。
ゴルフ場の協力を得て、コースセッティングのバリエーションも増やしています。米国は国土が広いので、高原や高地、リンクス、砂漠といった様々なコースがあります。日本は国土が狭くそれだけのバリエーションは求められませんが、日本特有の気候や地形に合わせたコースセッティングは出来ます。バリエーションがあれば、対応力が磨かれる。実力がある選手たちが、海外で勝てない姿を見るのは悔しいじゃないですか。
いいスパイラルを作り出すためには、協会が動かないといけない。
それなら、日本にいるうちから、海外でも勝てるように鍛えちゃえと(笑)。彼女たちが世界に活躍の場を求めたときに、出来るだけ戸惑わない環境を作るのが、会長である私の仕事だと思っていますから。
加えて、日本のツアーはレベルが高いと評判になれば、海外の実力者たちが日本ツアーに参戦するようになり、日本の選手たちの技術がますます磨かれていく。いいスパイラルを作り出すためには、まずは協会が動かないといけないんです。日本の女子選手が国内でも海外でも、高いレベルで争う姿を見たいと心から願っています。