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<女子プロゴルフ後半戦展望> 小林浩美LPGA会長 「世界と互角に戦えるプレイヤーが出てきてほしい」
text by
吉井妙子Taeko Yoshii
photograph byToshiya Kondo
posted2013/07/11 06:01
森田理香子(RIKAKO MORITA)岡本綾子門下生の森田は、2位に3000万円以上の差をつけ、賞金ランクトップを独走している。
岡本綾子が育てた生粋の勝負師・森田理香子に注目。
賞金ランキング
1 | 森田理香子 | \ 88,786,571 |
2 | 堀奈津佳 | \ 58,162,666 |
3 | 佐伯三貴 | \ 56,455,428 |
4 | 全美貞 | \ 47,356,285 |
5 | 横峯さくら | \ 45,872,404 |
6 | 比嘉真美子 | \ 45,466,666 |
7 | 吉田弓美子 | \ 35,901,403 |
8 | 茂木宏美 | \ 35,875,571 |
9 | 笠りつ子 | \ 32,876,571 |
10 | O.サタヤ | \ 32,564,094 |
今シーズン光っているのが、現在賞金ランキング1位で23歳の森田理香子選手。前半戦で3勝していますし、このままいったら6勝は固いと思います。いや、もっと行くかもしれません。正直に言うなら、昨年まではこれほど凄い選手だと気がつかなかった。もちろん、11個のイーグルを記録したくらいだから、潜在能力は高いと思っていましたが、6月のサントリーレディスの勝ち方を見て、とんでもない選手だと改めて思いました。
終盤、6人が8アンダーで首位に並ぶ状況で迎えた最終ホール。森田選手はグリーン上で同じ組の横峯さくら選手、中村香織選手のパットラインを参考にするために、敢えて後ろにショットしアプローチしたように見えました。私も長年プロでやってきたから分かりますが、勝負師としてのレベルの高さに、「この人を倒すのは大変だ」と思いました。そしてバーディパットを見事に沈めて逆転優勝。勝利に対する貪欲さが尋常ではなかったですね。
彼女は、岡本綾子さんに指導を受けるようになって成長した選手です。インパクトエリアの粘りだとか、下半身、足腰の強さで押していくスタイルは岡本さんそっくり。スイングも似てきているように思います。岡本さんとの信頼関係が強固なんでしょうね。
比嘉真美子、堀奈津佳……メンタルの強い若手が競い合う構図。
19歳の比嘉真美子選手は昨年プロテストに合格したばかりですが、2年連続アマチュアチャンピオンでしたから意識は凄く高い。強気の発言も多いですが、口にした以上はやらなくちゃならないと自分を追い込むタイプです。そのせいか、プロになったばかりの頃はいつも表情を引きつらせていたので、洗面所などで会うたびに、「はい、比嘉ちゃん、笑って」なんて、声をかけていました。最近は、表情も大分柔らかになってきましたね(笑)。
21歳になったばかりの堀奈津佳選手もメンタルが強い。しかもゴルフに対してとてもひたむきなんです。平均パット数ランクが首位なのはその証拠。スイングのもっている質も非常にいいですから、ピンを外さない。賞金ランクも2位と森田選手を追っています。
そのほかにも成田美寿々選手、昨年のプロテスト1位合格の東浩子選手などこれから伸びそうな選手がひしめいています。彼女たちはプロになってまだ日が浅いのに、誰もが「すぐに勝ちたい」と口にします。ジュニアで競い合ってきているだけに、同年代に負けたくないという思いが強いんでしょう。それがモチベーションとなり、ツアー全体の層の厚さを作っています。