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原点回帰で5年目の“ドラ1”が花開く!
DeNA・松本啓二朗の謙虚な逆襲。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/06/24 11:35

原点回帰で5年目の“ドラ1”が花開く!DeNA・松本啓二朗の謙虚な逆襲。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

父の松本吉啓も明治大学で投手として活躍した。「啓二朗」だった登録名を本名に戻した今季、レギュラーとして飛躍できるか。

ラミレス、多村……競争相手が増えても生き残る道を。

 生え抜き選手以外でも、'10年に日本ハムからスレッジが、'11年には森本稀哲が移籍してきた。そして'12年には巨人からラミレスが入団。今年は多村仁志が古巣復帰を果たし、メジャー経験豊富なモーガンも加入した。誰であっても、レギュラーが確約されない現状があるのだ。

 そんな状況下で、結果を残していない自分がおいそれとスタメンを口にすることはできない。だから松本は、「段階を」と慎重に言葉を選びながらスーパーサブとして活路を見出そうとした。春季キャンプでは、打撃以外に守備面でも一層の安定感を身に付けるべく練習に励み、走塁も技術の修練だけではなく相手投手のクセなどを入念に研究したのだ。

 結果的に彼の選択は正しかった。

 原点に立ち戻った打撃でまず結果を残し、守備面で不安があるラミレスが控えに回るとレフトのスタメンを任されるようになった。

 それは何より、チームが松本の守備での安定感を認めたからに他ならない。

 6月22日の阪神戦は、それを印象付ける試合となった。

打撃で結果を残せなくても、守備走塁で貢献するのが「僕の仕事」。

 試合前の時点で2割8分3厘と、一時は3割をキープしていたことを考えると打率は下降気味ではあるし、この試合でも4打数無安打、2三振と打撃は振るわなかった。しかし、3回に同点を防ぐ補殺を見せ、4回には新井良太の大飛球をジャンピングキャッチするなど守備では好プレーを連発してみせたのだ。

 打撃で結果を残せなくても、それ以外でカバーする――。

 一連のプレーについて、松本は自信に満ちた表情を浮かべながらはっきりとこう答える。

「打てないときこそ守備が自分を助けてくれると信じてプレーしています。打てなくても評価を下げない、チームに貢献することが僕の仕事だと思っています」

 スーパーサブから万能なレギュラーへ。キャンプから終始謙虚な松本ではあるが、スタメン定着への貪欲な姿勢は徐々に強くなっているのは確かだ。

「スタメンを意識しなくなったら野球をやる意味がありませんから」

 蹉跌と雌伏を経て実力でスタメンを勝ち取った、かつての“ドラ1”。逆襲は、すでに始まっている。

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