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メジャーで躍動する永遠の野球小僧。
天衣無縫な川崎宗則、本当の価値。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2013/06/08 08:01

メジャーで躍動する永遠の野球小僧。天衣無縫な川崎宗則、本当の価値。<Number Web> photograph by Getty Images

5月26日のオリオールズ戦で逆転のヒットを放ち、ファンの声援に応える川崎宗則選手。ここまで(6月5日現在)の成績は打率.214と無安打が続き低迷している。正遊撃手のレイエス選手の復帰も迫り、正念場に立たされている。

すべてを前向きに捉える、超ポジティブな思考法。

 こうした川崎の根底にあるものこそ、すべてを前向きに捉えようとする超ポジティブな思考法なのだろう。それは普段の彼の言動から窺い知ることができる。

「僕は自分のプレーをするだけです。何も意識もしません。10連敗しようが20連敗しようが、僕は一緒。同じプレーをします」(5月11日レッドソックス戦)

「チームのムードは変わらないです。今まで小学校の頃からムードの悪いチームにいたことがない。雰囲気が悪いというのがどういうことか知らないです。100連敗していたとしても雰囲気はいいですよ。相手もプロだから」(5月14日ジャイアンツ戦)

「調子が悪い時は今まで1回もない。ケガした時は調子悪かったですね。グラウンドに立っている時は調子が悪かったことは1回もないです。絶好調で50打席ヒットがない時もありますよ。でもそれは僕にとっては調子とは関係ないこと。だから、これから調子について聞かないでください。バッティングや技術的な質問はしてもね。大リーガーは凄いピッチャーばかりですから。自分がどんなに調子が良くても打てない時もあるし、そんなことで調子なんて言ってられないです」(5月20日レイズ戦)

「(あまり対戦のない)左ピッチャーが来てラッキーだと思いました。左ピッチャーでも右ピッチャーでもチャンスではラッキーだと思っています」(5月24日オリオールズ戦)

「ランナーがいない時でもラッキーです。野球をやらせてもらっている時点でラッキーですし感謝です。そういう意味です」(5月25日オリオールズ戦)

「ファンと完全に一体になっていた。僕もその中の一員でした。ファンの皆さんと一緒。その気持ちで一つになりました。だから打席に入った時は感謝ですよ。相手のピッチャーや何もかも含めこの打席に立たせてくれてありがとうと。正々堂々と向こうのピッチャーも投げてきている。凄い抑えのピッチャーだというのはわかっているので、こっちも正々堂々と勝負した。今回はたまたま結果が良かったですけど、やられる時もある。正々堂々と勝負できたのがすごく良かったです」(5月26日オリオールズ戦)

2年前の川崎は、イチローとのプレーだけを夢見ていた!?

 とりあえずここで紹介した発言だけでも川崎が野球をやれることに感謝しながら、日々前向きに取り組んでいるのがわかるだろう。だが2年前に川崎がメジャー挑戦を表明した際は、あくまで尊敬して止まないイチロー選手と同じチームでプレーしたいという特殊な気持ちからだった。

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