スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
2強の低迷とLAの嘆き。
~不振のドジャースとエンジェルス~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2013/06/02 08:01
自軍の冴えない日々に、ドジャースのマッティングリー監督の表情も曇りがち。
ドジャースが弱い。
エンジェルスも弱い。
大型補強を敢行したブルージェイズが伸び悩む予感はあったが、ロサンジェルスの2球団までがこんなに苦戦するとは思わなかった。
2013年5月30日現在、エンジェルスが25勝29敗でア・リーグ西地区3位。ドジャースにいたっては、22勝30敗でナ・リーグ西地区最下位。開幕前には、フリーウェイ・ワールドシリーズを予想する声さえ聞こえていただけに、この不調はちょっとした驚きだ。
2012年オフ、ドジャースは大型補強を敢行した。2億1600万ドルの巨費を投じて大物選手を何人か獲得し、1億ドルをかけて球場の改修に乗り出したのだ。あのマジック・ジョンソンも加わった新しいオーナー・グループの改革に、ロサンジェルス市民は拍手を送った。
実際、陣容を見れば、ドジャースはスーパースター軍団になったのだ。
先発投手陣には、ザック・グリンキーと柳賢振が加わった。去年までの軸は、大器クレイトン・カーショー、かつてレッドソックスを支えたジョシュ・ベケット、老練テッド・リリーの3人。悪くはないが、やや線が細い。
ドジャースの誤算はエースの骨折と主砲の大不振。
ところが、最大の目玉だったグリンキーが故障した。試合中の乱闘で鎖骨を折って1カ月も戦列を離れたのだ。
監督のドン・マッティングリーは頭を抱えたにちがいない。柳が6勝2敗(防御率=2.89)と期待以上の活躍を見せているだけに、グリンキー(2勝1敗。防御率=4.38)の復調は後半戦のキーとなる。
それよりも重症なのは、打線の不振ではないか。チーム別のスタッツを調べても、打点=171は大リーグ全30球団中で29位(30位はマーリンズ)だし、本塁打数=37本も、30球団中28位(この下にはロイヤルズとマーリンズしかいない)に低迷している。
なかでも衝撃的なのは、主砲マット・ケンプの大不振だ。一時に比べて少しは持ち直したものの、打率=2割5分1厘、出塁率=3割5厘、長打率=3割3分5厘、本塁打=2本、打点=17という数字は、2年前(ナ・リーグMVPの次点だった)の彼を知る者にはとても信じがたい。昨年8月、対ロッキーズ戦で飛球を追ってフェンスに激突し、左肩に重傷を負って以来、どうも様子がおかしくなった。