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人気の斎藤か? 実力の大石か?
巨人のドラフト1位指名選手は誰だ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2010/09/07 10:30
昨年の秋季リーグで4位に沈み、春には惜しくも優勝を逃した早大。斎藤は4年間の大学生活の集大成となる最後のリーグ戦で有終の美を飾れるか
ヤクルトとロッテは早大エース・斎藤の1位指名を表明。
ヤクルトとロッテは早々に斎藤の1位指名を決めている。
理由は明確だった。
「斎藤は特別な選手だ」
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こう言うのはあるヤクルトに近い放送関係者だった。
150キロのストレートを投げる投手は毎年、必ずいる。しかし、甲子園で優勝してスターとなり、大学に進学しても早稲田のエースとして勝ってきた。人気はもちろんだが、そういう背景を背負って、常に結果を残せること。そこが斎藤の凄いところなのだという。
「あんな投手はPL学園時代の桑田以来だ」
その関係者はため息をついた。
桑田も決して剛速球派ではなく、身長があまり高くなかったことから、高校時代には “将来性”を危惧する声もあった。
だが、何かを持っている選手であることは間違いなかったし、確かにその何かを持っていた。
斎藤もそういうことだ、というわけだ。
なるほどと思う。
「甲子園の星」を獲得するのは球界の盟主の使命である。
加えて、極めて個人的な思いを書き加えるとしたら、その年に一番話題の選手を指名する─―それは巨人というチームの責務だとも思っている。
かつても甲子園のアイドルだった鹿児島実業の定岡正二投手を指名し、その後もくじで外れたが早実・荒木大輔投手を指名。周囲をあっと驚かせたが前述の桑田の指名も納得だった。そして星稜の松井秀喜内野手へと、その系譜は続く。そうした選手を巨人が獲得することで、野球の話題が盛り上がり、球界全体の活性化にもつながってきた。
その一方で'93年から逆指名や希望枠ができたことで、即戦力で入団が保障された選手へとドラフト上位の指名は方向転換された。
もちろんその後も高橋由伸外野手や阿部慎之助捕手ら今もチームの屋台骨を支える選手を獲得してきており、補強が失敗だったわけではない。だが、その一方で甲子園のスター選手の獲得がしばらく途絶えた。そこは反省すべき点だったはずだ。