ロングトレイル奮踏記BACK NUMBER

5月の雪と初めてのヒッチハイク……。
「まさか」の連続と出会っていく。 

text by

井手裕介

井手裕介Yusuke Ide

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photograph byYusuke Ide

posted2013/05/29 17:00

5月の雪と初めてのヒッチハイク……。「まさか」の連続と出会っていく。<Number Web> photograph by Yusuke Ide

5月のカリフォルニアで「まさか」の雪に見舞われた!

風力発電の風車が立ち並ぶ「風の谷」。

 長いジグザグ道を降り、再び荒野に帰ってきた。

 途中、またもエンジェルの家があったが、必要以上に甘えてしまっては悪いと思ったし、贅沢病に罹患してはこの先が思いやられるので通過することにした。

 サボテンが再び顔を見せるトレイルは、一度ハイウェイを通過し、風力発電の風車が立ち並ぶ谷へ向かう。

 砂が目に入り、体が、テントが、飛ばされそうになる。まさに「風の谷」。プロペラの音は、機械的なそれとは少し違った。

 途中、天気雨や雷に襲われるが、上を見上げると、今雨が降っているのが嘘みたいに陽が射している。カリフォルニア出身のバンドCCR(クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル)の「雨を見たかい」は、この地域特有のこんな空を唄ったのだとか。「見えないところで問題は起きている」と彼らは歌っている。

今度こそ初めてのヒッチハイクに無事成功したが……。

 雨が降った晩、ハイカーたちは自然と大きな木の下に集まった。

 皆で焚き火を起こして温まり、各々のテントへ帰って行く。

 一転してピーカン晴れとなった翌朝、昨晩一緒に過ごしたハイカーたちと、抜きつ抜かれつ進む。カリフォルニアの空みたいに、ハイカーたちとの関係は良い意味でドライだ。途中にエンジェルが置いてくれたオレンジがあり、思わずアーメン。

 ハイウェイにたどり着き、今度こそ初めてのヒッチハイクだ。10分ほどして、1台のジープが止まった。

「ははーん。ハイカーだな。乗ってけよ。俺たちも昔はよくやったもんだ」

 JimとLinda夫妻。アリゾナ旅行からの帰りだという。彼らとの話に夢中になり、あっという間に目的地へ。

 ところが、車から降りてすぐ、大変な事態に気付く。 僕がたどり着いたのは、連れて行ってほしい町の隣町なのだった。

 参ったなあ。

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