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NPB発表の「最高の試合」もいいが、
面白すぎる少数意見も見逃すな! 

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2010/08/16 12:20

NPB発表の「最高の試合」もいいが、面白すぎる少数意見も見逃すな!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

 8月9日は“野球の日”だったらしい。

 なんでも、ヤキューの語呂合わせと、プロ野球、夏の甲子園など、野球が盛んになる時節柄という理由から、某スポーツメーカーが制定したのだとか。ちなみに針灸の日でもある。

 そんな今年の野球の日。プロ野球は一体どんなドラマチックで熱い闘いを生んでくれるのだろうか。と、楽しみに予定表をめくればまさかの移動日である。意味がわからない。

 そうして消化不良となってしまった野球の日ではあるが、燃える試合を欲する野球ファンのために、NPBは粋な計らいをしてきた。

 現役の選手、監督が選ぶ「最高の試合」、「名場面・名勝負」の発表である。

 NPBの公式サイト上に特設されたこの試みは、セ・パ858名の現役選手・監督・コーチを対象に、プロ野球76年の歴史の中で最も心に残っている「最高の試合」、「名場面・名勝負」をアンケートで答えて貰い、それぞれのランキングを出すというもの(http://fan.npb.or.jp/)。

 試合のない野球の日を契機に、自分にとっての「最高の試合」を思い出してみましょうとでも言いたげなこの試みは実に面白かった。既にご存じの方も多いと思うが、“最高の試合”のみに絞りそのベスト5を改めて振り返ってみよう。

  【 1位 】 '94年 中日vs.巨人 「10・8決戦」 
  【 2位 】 '01年 近鉄vs.オリックス 「北川・代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン」
  【 3位 】 '06年 日本ハムvs.ソフトバンク CS 「サヨナラで斉藤和巳がマウンドに崩れ落ちる」
  【 4位 】 '09年 日本ハムvs.楽天 CS 「スレッジ逆転サヨナラ満塁ホームラン」
  【 5位 】 '85年 阪神vs.巨人 「バックスクリーン三連発」

5位以下の“名勝負”に妙味があるアンケート結果。

 なるほど。どれも名勝負に相応しい記憶に残る試合であることに疑う余地はない。

 だが、どうだろう。「あの試合がない!」と不満を抱かれた方も多いのではないか。気になるのは5位以下のランキングである。サイト上には各選手が選んだ試合とその理由が掲載されていたのでそれを参考に集計してみた。

●6位タイ '88年 ロッテvs.近鉄 「10・19」 
「あの川崎球場に長蛇の列ができ、スタンドが満員に埋まった」(ロッテ・西村監督)
「この日、西武球場でこの試合を手に汗握りながら見ていました。『一球で試合が決まってしまう』という、野球の怖さを感じた試合でした」(楽天・安部コーチ)
「色んなことを考えさせられた」(ヤクルト・相川、ユウキ、佐藤真一コーチ)

●6位タイ '07年日本シリーズ第5戦 中日vs.日本ハム 「山井・岩瀬完全試合リレー」
「日本一になったから」(中日・山井)
「日本シリーズであんな試合ができるなんて強いなあ…と思いました」(中日・矢地)
「山井投手がもし、完全試合を達成していたら日本シリーズ史上初の快挙だったので興奮して試合を見ていたことを思い出します」(楽天・ブラウン監督)

●8位 '09年第2回WBC決勝戦 日本vs.韓国 「イチロー決勝打でWBC連覇」
「5度目となる韓国との死闘に勝利し、優勝を獲得した試合。作戦面、用兵など全てが思い通りに進み、選手も応えてくれた最高のゲーム」(巨人・原監督)

●9位タイ '08年日本シリーズ第7戦 巨人vs.西武 「片岡のギャンブルスタート」
「自身の走塁で試合を同点にしたから」(西武・片岡)
「片岡選手の好走塁に感動しました」(西武・美沢)

●9位タイ '00年 巨人vs.中日 「江藤満塁・二岡サヨナラ優勝決定ホームラン」
「あまりにも劇的な幕切れでの優勝決定であっぱれ!」(巨人・大西コーチ)

 さて、この10試合。年代を見れば'80年代は2つ、'90年代は1つで後は2000年以降である。「なんでぇ、結局最近の試合ばかりじゃないか」とさらに不満を大きくした昭和野球愛な方々。各球団の選手構成比率は20代が一番大きいため、ランキング上位が最近の試合になってしまうのはしょうがないこと。

【次ページ】 「監督・コーチ」枠のランキングに昭和の香り漂う。

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