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必殺のクロスを武器にレギュラーへ!
ブンデス1年生、酒井宏樹の明日。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/05/17 10:31
新しくSDに就任したドゥフナー氏は、「ポテンシャルのある選手の1人だと確信しているよ。フィジカル面で強く、早さがあり、意欲的だね。我々を本当に楽しませてくれるような姿を想像できるよ」と酒井を評価している。
絶妙なクロスの精度はユース時代からの積み重ねの成果。
――あのクロスは具体的にはどういうイメージで蹴ったのですか。
「うーん……自分としては、まず、目の前に敵がいるので、敵にあたらないようにと。でも、なおかつ、(相手の)キーパーに触られないようにしないといけないのでね」
――以前、クロスの際には中の特定の選手を狙って蹴るというよりも、特定のエリアをめがけて蹴っているという話をしていましたが、いつからそういう意識を持っているのですか?
「そういう感じ(エリアに向けて蹴る感じ)は、ユースのときからみんな気づいていると思いますよ。そこに蹴れるかどうかというのが、大きなチャンスにつながりますからね。自分としては、最近はキーパーに向かって蹴る感じでやっているんですけど」
――キーパーに向かってですか?
「はい。そうすると、そこからキューっとカーブして、いいクロスになるんですよ(笑)。僕の中では、クロスというものはずっと昔から練習しているという意識があるので、サイドでのプレー歴が短い選手よりは良いボールを上げないといけないと思ってます。何年か早くやっている分、ね。ユースのときはサイドハーフだったり、ウイングなどもやっていたので、そういう経験もすごく活きてますし」
試合での手応えを掴みつつあるのだろう……この時の酒井からは、驚くほどよどみなく言葉が出てきていた。
支配下選手の入れ替えを断行する新SDの下で発奮。
実は、ハノーファーでは4月17日に酒井を獲得したシュメツケSDが退団し、4月23日からフライブルクから移籍するような形で新たにドゥフナーSDが就任している。
現時点では、ドゥフナーSDは支配下選手の評価を再確認する作業に入っているようだ。FWソビエフと契約延長で合意する一方で、センターバックのエッギマンや、今年に入ってから一時はコンスタントに右SBで先発していたシャヘドなどは、放出する意向だとみられている。
その意味で、ハノーファーの選手にとって今は踏ん張りどころなのだ。チームの現状をどう捉えているのか問うと、こんな答えが返ってきた。
「前のSDが自分のことを獲ってくれたので、前のSDにはすごい思い入れはありますよね。でも、自分がトレーニングで良い練習が出来ていなかったので、監督がスタメンに選ばなかったのも当然でしたから……」