ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
必殺のクロスを武器にレギュラーへ!
ブンデス1年生、酒井宏樹の明日。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2013/05/17 10:31
新しくSDに就任したドゥフナー氏は、「ポテンシャルのある選手の1人だと確信しているよ。フィジカル面で強く、早さがあり、意欲的だね。我々を本当に楽しませてくれるような姿を想像できるよ」と酒井を評価している。
右MFで出場し、チームトップとなる数のクロスを放つ!
迎えた4月7日のシュツットガルト戦。
怪我から戻ってきたチェルンドロが右SBの先発の座に収まったものの、酒井は右MFとしてスターティングメンバーに名を連ねることになった。
次のフライブルク戦こそ出番がなかったが、その後、30節のバイエルン戦以降、右SB、右MFとしてコンスタントに出場し始めた。右MFとして先発した5月11日のレバークーゼン戦ではスルーパスからソビエフのゴールをアシストすることにもなった。
「特にディフェンスのところでは、まだまだ改善すべき場面はありました。(サイドバックから)ひとつ前にポジションが移ったわけだけど、チームにとって効果的なディフェンスをするのがすごく難しくて」
酒井はレバークーゼン戦での自身の課題をこう語ってくれたが、この試合における酒井のデータを見ると、興味深い事実が浮かび上がる。
・走行距離 11.12キロ(チームトップ)
・スプリント数 21回(チームトップ)
・ラン数 65回(チームトップ)
これだけでもすごいのだが、驚くべきは次のデータだ。
・クロス数 15本(チームトップ)
ちなみにクロスをチームで2番目に多く上げたのはMFピントだが、その数はわずかに4本。クロスに定評のある酒井がいかに際立ったデータを残しているかがわかる。
「普段の練習でやっていることを試合で出すだけ」
特に光ったのは後半8分のプレーだ。右サイドから酒井が上げたクロスにFWマメ・ディウフがタイミングよく頭で合わせたのだ。このヘディングシュートはクロスバーの上を越えてしまったのだが、酒井のストロングポイントが際立ったシーンと言えた。
あの試合から4日後、練習を終えた酒井に質問をぶつけると、シーズン前半と違ってスラスラと答えがかえってきた。
――あのクロスについて教えてほしいのですが。
「マァーモ(ディウフ)は本当に相手のマークを外すのが上手い選手なので、僕が抜け出して、中を見たタイミングでは、もう絶対にフリーになっているんですよ(笑)。だから、あの時もすごいフリーだったので、ただ浮かすだけで良かったですし。そういうプレーはいつも練習の時からやっているので、上げやすいといえば上げやすいんです」
――普段の練習でやってきたことが試合で実ったということですか。
「そうですね。監督も、練習で良くなければ絶対に使ってくれないわけですしね」