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10年越しに叶えた2つの夢。フリーダイバー・篠宮龍三、闘いの軌跡。~日本で世界選手権、初開催~
text by
野田幾子Ikuko Noda
photograph byKanako Nagashima
posted2010/07/30 10:30
来年は、思い出の地バハマで世界記録争いに参戦する。
「無心でやれば、それだけ勝つ確率は上がると信じています。でも、今回はそれよりも戦略が勝った。そういうところが悔しい。ああ、やられたな、デンマークに!」
オーガナイザーとしての心配りと、アスリートとしての闘争心。その狭間で大きく心が揺れ動いた篠宮の世界選手権は、猛暑のなか幕を閉じた。アジアで初めての世界選手権は誰もケガをすることなく、無事に終了した。それが、2002年から沖縄での大会開催を夢見ていた篠宮の大きな誇りだ。
「大会の前から、オーガナイザー兼アスリートという二足のわらじはこれで最後だと考えていました。引退してからもオーガナイズはできるけれど、いまこの肉体を使ってやらなければならないこともある。この先、2、3年は選手として全開でやろうと決めているんです」
次の大きな舞台は、2011年4月にバハマのブルーホールで行われる個人記録会「バーティカル・ブルー」だ。2009年4月に長い間目標としてきたフリーダイバー、ジャック・マイヨールの記録に追いつき、12月には追い越した、篠宮にとってこの上なく思い出深い場所。
長年温めていた夢を叶え、アスリートとして精神を集中していく篠宮。現在、コンスタントの世界記録まであと9mのところに迫っている。来年、バハマでは、世界記録争いの一端に加わっている篠宮の姿が見られることだろう。